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汚い優良物件、見つけました
story | 2015.7.6
タエさん(40才)
ひとり暮らしの社長秘書。

お久しぶりです。タエでございます。皆さまにおかれましては、お変わりはございませんか。私におきましては…変わりがあったのでございます。ついにこの物件を買おうかな、という物件と出会ったのでございます。でも、ここでいいのか不安なのでございます。なぜなら、場所すごくよし。価格すごくよし。ただ…とびきり汚いんでございます。どうぞ私の話を聞いてください!

「すごくいい物件が出たんですよ。タエさんに最初に見て頂きたくて」
そんなリノベーション会社の担当のヤスダさんからの電話に胸をときめかせてやってきたのは、一度住んでみたかった、私の憧れの街!

駅前には駅ビルやオフィスもありますが、古くからのお屋敷街で、少し歩けば閑静な住宅街。なんとその一角に“いい物件”がありました。いいじゃない?いいじゃない?樹木も感じよく茂って、築20年だからこその落ち着いた雰囲気もとても気に入りました。

ピンポーン。あ、この物件ですが、まだ住人の方がいらっしゃったのです。

ピンポーン。「あぁ、どうぞどうぞ」と、出ていらしたのはランニング姿のおじいさん。「そこらへんに靴を脱いでね」って、どこに靴を脱いで、どこから靴を脱いだ足で歩けばよいのでしょう。部屋の中は、ゴミ袋、ダンボール、ブラウン管のテレビ、コタツ、なぜか木馬。ここは粗大ゴミ置き場でしょうか? 売却理由を聞いてみると、奥様が亡くなってから10年、ひとり暮らしもおっくうになってきたので、長男さんとの同居を決められたそうです。男やもめになんとやら。トイレも、台所も、お風呂も…掃除しないとこうなるのね。

「タエさん、どうでしたか?」。帰りの道すがら、ヤスダさんが聞いてきます。どうってね。本当に場所はいいけれど、無理よね。コバエをはらいながら内見したのよ?

「改めて思いましたけどね、あの部屋悪くないですよ。リノベーションの場合、家はただの箱と考えてください。大切なのは建物自体ですよ。現状が汚くても見違えるようにきれいになりますから。それに中古物件は壁紙などがリフォームされていたりすると、そのぶん価格に上乗せされていることが多いんですよ。目の前の汚さに惑わされないでください」

うーん。ヤスダさんの言っている意味はわかるわ。でもあの汚い物件に数千万円をつぎこめる?買う、買わない、買う、買わない。あれからずっと考えて居る私です。


さあ、タエさんはどう決断するのでしょうか。ところであなたなら、
汚い優良物件を買いますか?ご意見を聞かせてください。

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