自分らしい空間に必要なリノベーションの性能とは

無印良品の考えるリノベーション | 2016.3.22

無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、光と風が全体を通り抜ける一室空間の間取りを提案しています。光や風の通りをよくすることは、気持ちのよい暮らしをするために必要な本質の部分だと考えているからです。
一室空間という、将来の暮らしの変化に対応できる住まいを実現するためには、マンションの温熱性能が大切です。「MUJI INFILL 0」では、外壁には高性能な断熱材をとりつけ、窓にはペアガラス(二重ガラス)のインナーサッシを標準で設置します。こうすることで小さく部屋を区切らなくても温熱環境が安定し、快適な暮らしをすることができるのです。

大きな空間にするために必要な温熱性能
無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」は、マンションの部屋をできる限りつなげて大きな空間をつくり、住まう人が建具や家具を使って自由に内部を仕切っていくことができるようになっています。しかし、大きな空間とすることで冷暖房の効率が悪くなる心配があります。一般的なマンションは3LDKや4LDKなど細かく仕切られている場合が多いですが、これがその理由の一つです。
そこで無印良品は、窮屈な間取りから解放された自由な暮らしのために、空間の温熱性能に着目しました。

窓の断熱性能を考える
外の温度の影響を受けやすい、窓の断熱性能を考えてみます。

一般的に古いマンションは、窓にガラスが1枚のみしか入っていない、断熱性能の低い窓になっている場合が多く、冬には住まいの熱の約50%が窓から逃げていくという調査結果もあります。窓の近くにいると冷たい風を感じることがあると思います。窓が外の温度を断熱しきれず、部屋の中の温度に影響していることがわかります。この窓の断熱性能を強化することで、高い省エネ効果も期待できそうです。
そこで無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」では、既存の1枚のガラス窓に、ペアガラス(二重ガラス)のインナーサッシを取り付けることで3枚のガラスとしました。

実際に温度測定器で、施工したリノベーション物件の窓の温度を計ってみました。
インナーサッシを開けた窓側の空気の温度は14.8℃、インナーサッシを閉めた窓側の空気の温度は23.3℃となりました。
23.3℃となると窓側でもほぼ室温と同じです。これだけの温度があれば、窓からの冷気を感じることも少なくなるでしょう。もちろん断熱性能が高くなるので、暖房の利きが良くなります。

インナーサッシを開けた場合

インナーサッシを閉めた場合

冬の間、困ることの一つに窓の結露があげられます。結露がひどくなると窓に水滴がつくだけでなく、水が溢れ出して床に落ちてしまうこともあります。ひどい場合には木材を腐らせたり、カビが生えてしまうこともあります。
一般的な古いマンションは、アルミのサッシが取り付けられていることが多いですが、無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」のインナーサッシの素材は樹脂でできています。冬の寒い日にアルミサッシを触るとヒンヤリとすることがあります。それは屋外の温度がアルミに伝わりやすいことが原因で、アルミの熱伝導率は樹脂の1000倍と言われています。樹脂であれば外の温度の影響を受けにくくなりますので、冷たくなりにくくなり、結露を起きにくい構造になります。
また、設置・施工に工夫を重ねることで気密性をあげています。そうすることで湿った室内の空気を通さず窓面の結露をさせにくくしているのです。
防音対策にも有効です。近くに大きな幹線道路がある場合でも、既存のサッシにインナーサッシを追加することで音が遮断され、静かな寝室とすることが可能です。

いかがでしょうか。目に見えるデザインだけでなく、光・風・熱・音といった目に見えない部分を考えて、住まいの本質を大切にしています。大きな空間を自分で仕切ることができ、その大きな空間に順応できる性能を確保することで、自分らしい自由で快適な暮らしをつくることが出来そうです。
このような住まいについて、皆さんはどのようにお考えになりますか。ぜひご意見をお聞かせください。