新築戸建住宅を買うときには、「高く売る」ことも考える?

初心者が家を買う | 2010.1.26

FUJI 男性・独身。結婚したいさかりなお年頃をやや過ぎてしまった。結婚のために家を買う、というのが人生の当面の目標。しかし貯金は少なく、実現はいつになることやら…。   CHAKA 女性・既婚・子どもあり。2年前に自宅マンションをリフォームしたが、思ったほど満足していない。歯に衣着せぬ辛口トークで他のスタッフに恐れられている。



あたりまえのことだけど、「無印良品の家」は、家を売っているわけですよね?


えっ? いきなり何を言い出すんですか? 正月ぼけですか?


そうじゃなくて…、このコラムでも「家を買う」っていうのがどういうことなのか、とか、家を買うときに気になること、とかをテーマに話してきたわけです。でも、よくよく考えてみると、「無印良品の家」は、「家を売る」わけで、「お客様」は「家を買う」わけですよね?


??? 何が言いたんですか?


つまり、このコラムには、お客様が家を「買う」ための情報しか掲載されてないよな、と。お客様が家を「売る」ための情報がないよね。


そりゃそうですよ。「お客様」が「無印良品の家」に家を「売る」わけじゃないですからね。


でもさ、それじゃいけない、と思うわけよ。「無印良品の家 有楽町店」にいらっしゃったお客様にいろいろ話をうかがったところ、こういう意見があったわけですよ。

「家を買うにあたって、将来その家を売ることはあまり考えていません。資産としての価値を求めて家を買うわけじゃないですから」


それって、普通の感覚じゃないですか? 家という非常に高額なものを購入するときに、それを手放すときのことをイメージするって、そんなに一般的なことじゃないと思いますよ。
どちらかというと、その家に住むときのイメージ(夢?)を思い描くものなんじゃないですか?


そりゃそうなんだけどさ…、そこが問題なんじゃないかな、と思うわけ。

 

「家」には価値がない?


「家」は「人」が住むもの、でしょ。人が住んでいなかったら意味がないというか。


それはそうです。


でもさ、例えば転勤になるとか、あるいは、両親と一緒に住むことになったから引っ越すとか、どうしても手放さなくてはいけない事情がでてきたりして、その家に住めなくなることもありますよね。


まぁ、確かにそういうことは必ずあります。


家を「買う」ときに、家を「売る」ことを、あまり考えないのは、家を売るときに、「土地には価値があるけど、『建物(家)』にはあまり価値がない」という考えが、日本では一般的になっているからだと思うんだよね。


確かに、日本の住宅って、平均して30年も経たないうちに取り壊されている、っていうのが現実ですね。


中古マンションの一室を購入したときは、マンション自体を一人の意志で建て替えることはできないから、内装をリフォームするくらいにとどまるけど、中古の戸建て住宅の場合は、買った人に資金の余裕があれば、建て替えることができるしね。


「年数が経った中古住宅は、『建物』の価値がゼロになっているので、壊して更地にしたほうが売りやすい」なんて話も耳にすることがありますね。


そう、それなんだよ!


ええっ? 「それ」って何のことですか?


「家を壊しちゃったほうが価値が高い」なんて、悲しい話じゃないの!


あ、そういうことですね。


いくら、日本の中古住宅市場で「『建物』の価値はほとんどない」といわれているとしても、そこに抗(あらが)うのが「無印良品」でしょ!


いや、そんな、勝手にブランド論を打ち上げられても困るんですが…。


そもそも、「無印良品」が始まったときって、世の中は、ブランドロゴなどがデカくプリントされてるようなTシャツとかが流行っていた時期なわけ。ロゴや商標を付けただけで、原価からかけ離れた価格の設定をされた商品に対するアンチテーゼというか、時代に対する新しさというか、そういう提案として「無印良品」の商品が生まれたわけよ。だから、「無印良品の家」も、そういう姿勢でさ、…………(しばらく続く)


(普段は仕事も遅いし、ボーっとしてるのに、この手の話になると、いつも急に熱が入るのよねぇ)


ちょっと! 聞いてた?


はいはい。で、結論としては、何が言いたいんですか?


うーん、難しいね…。


おい!

 

高く売れる一戸建てとは?


私がまとめるのも何なんですか、つまり、家を「買う」ときに、家を「高く売る」ということも考えましょう、ということですかね。


そう!


あ、そうなんですか。(笑)


いいテーマだと思わない?


確かに、家をつくる側から、その家を将来売るときの話というのは、ほとんどされていませんね。


あ、そうなの? それはマズいな…。確かに、「無印良品の家」のウェブサイトにも、そういう話、ぜんぜん掲載されてないね…。


でも、その話題、ちょうど良かったです。もともと、「高く売る」ことのためにやっていたわけじゃないんですけど…、「無印良品の家」って、「永く使える、変えられる」がコンセプトじゃないですか。だから、売るときも、比較的高く売れるべきだと思うんですよね。


おっ、なんだか、やけに話がうまく収まりそうな予感が…。


落しどころを考えずにテーマだけを投げてくるのはどういうことなんだ、ってのは、毎度のことなので慣れましたから、つっこまずに放置しときますね。
で、日本の戸建て住宅の平均寿命が30年にも満たない理由は、家が物理的に傷んだからではなく、「間取りなどの使い勝手が悪いから」というのが、最も大きな理由なんですよ。


ふむふむ…。


そこで、家の外側というか、基本的な構造は、地震にも強く、断熱性能の高いものにして、その中の間取りは、使う人によって自由に変えられる、ということで「無印良品の家」が誕生したわけですから、これ、無印良品らしくありませんか?


確かに…。


この、「間取りの変更が後からでもある程度自由にできる」ってことが、家族構成が変わっても、あるいは住む人が変っても、家の価値が下がりにくい一番のポイントなわけです。さらに、「無印良品の家」では、すべての住宅に、構造計算書を付けてますから、それも高く売るポイントになると思うんですよね。


あれ? 住宅に構造計算書が付いてるのって、当たり前でしょ?


あ、そういえば FUJI さんは、「無印良品の家」 = 「一般的な家」と思っているから、ご存知ないかもしれないですけど、2階建て以下の一般住宅では、ビルと同じような構造計算書を付ける義務はないんです。だからむしろ、ついていない住宅の方が多いんですよ。


そうなんだ…。構造計算書って、偽装事件で騒がれたから、みんな付いてるものだと思ってた…。


他にも、「無印良品の家」は、全棟長期優良住宅対応仕様ですし、住宅履歴書も付けていこう、と計画してます。


住宅履歴書?


住宅履歴書は、クルマでいうと「整備記録」みたいなものです。長期優良住宅の認定を受けた家は、その家の修繕履歴や定期点検などの記録を残すことが義務づけられているんですよ。


そうか…。クルマに例えるとわかりやすいなぁ。高く売れるクルマは「時代の流行りすたりと関係なく、ちゃんと安全面とかにも配慮してつくられていて、整備記録もしっかりしている」と。


お、珍しく、いいこと言いましたね。
不動産業界では、中古戸建ての価格査定の際、長期優良住宅の認定を受けた住宅や、住宅履歴書が整備されている住宅については、査定価格を上積みしようとする動きも実際に始まっています。


えーっ、すごいなぁ。私の考えはやっぱり間違っていなかった、ということだね!

【今回のまとめ】

  • 戸建て住宅を売るときに、建物(家)の価値はあまり評価されない、といわれがちなのは、間取りなどが、住む人の変化に対応できず、「永く使えない」家が多いからだ。ちゃんと変化に対応できる家なら、高価で売れる可能性が高まる。
  • クルマの売買と同じで、いろいろな記録がちゃんとあると、高い価格で売れる可能性が高まる。


あれ…、「まとめ」は、それだけでいいんですか? なんか変な、ご自分の人生のまとめ、みたいなのはしなくても? 「今回のまとめ : 家が高く売れるかどうかを考える前に、お見合いなどのときに自分をどう売り込むかが大切だ」とか。


今年も婚活話題でイジめるのは止めてくださいまし…。