第3期第11回 「近居プラン」について

第3期 2011年〜 | 2016.11.15

前回のアンケート第3期第10回「親と子の住まい方」では、同居、近居、別居のあり方についてお聞きしました。たくさんのご参加ありがとうございました。
このアンケート結果を受けて、今回のアンケートでは、親世帯と子世帯が2つの部屋を借りて近くに住む「近居」を想定した間取りをいくつかご提案しました。それぞれの世帯の暮らし方から、どちらの部屋に何の機能があればよいかの間取りについて、みなさんのご意見をおうかがいした結果をご報告します。

●回答総数:16,448名
●実施期間:2016年9月15日(木)~ 9月22日(木)

回答者のプロフィール

年代
世帯形態

同じ団地内の別の棟の部屋を、それぞれ親世帯と子世帯で1部屋ずつ借りて住む「近居」を想定しました。
間取りは、子世帯の3つのプランは共通で、親世帯のみ変化をつけています
子世帯46㎡よりも、親世帯70㎡のほうが、より大きい部屋の間取りとなっているのが特徴です。子世帯の部屋は、最低限のミニマムな設備とし、親世帯に暮らしのさまざまな機能を展開させました。

Aプラン 「大きなキッチンと2世帯分の納戸がある暮らし」

親世帯に大きなキッチンを設け、食事の大半を、親世帯の部屋で行いやすい間取りにしました。
共働きの夫婦と親が、夕食は親世帯に集まって、みんなで一緒に食事をとる、食事の準備が思うようにできなくなってきた親に、子世帯が親世帯に出向いて食事を手伝う、などができると思います。
また、納戸を設け、2世帯分の収納スペースをつくることで、親世帯・子世帯ともにすっきりとした暮らしができそうです。
親世帯の広々としたダイニングテーブルは、孫たちへの勉強・宿題スペースとしても考えられています。

Aプランへのコメント

二世帯分の倉庫がかなり広く取ってあることに一番魅力を感じた。居住空間を快適なスペースにするためには、収納が最も重要だと思うから。(女性/30代/親+子世帯/共働き)

朝と昼は、仕事や学校ですれ違いの時間を過ごすので、夕飯だけは、両世帯が一緒に食事ができる、そんな暮らしをしてきたので、これに共感いたしました。(女性/30代/親+子世帯/共働き)

年齢にもよりますが、子供たちにやってもらう前提の、大きな風呂や家事動線を優先したプランよりも、自分たち、世話になる子供たちの収納を備えたAに共感します。(女性/40代/夫婦二人世帯/共働き)

お料理が好きなので、また子供がお料理に興味を持ってくれているので、数人がキッチンに立てる楽しみが増える。アウトドアを親世代と楽しむ機会が多いので、納戸があるのは嬉しいです。(女性/50代/親+子世帯/共働き)

Bプラン 「広い?畳のリビングと広いお?呂がある暮らし」

「親世帯」に大きなキッチンを設けているのは、Aプランと同様です。
平日は親世帯が学生の孫を預かることも想定し、ダイニングの横に宿題などができるスタディスペースを設けました。
時には、親世帯に子や孫がお泊りすることも考え、大きな浴室を設け、さらにリビングを布団が敷ける畳としました。

Bプランへのコメント

親の家に行くとしたら、勉強机があるのは嬉しいし、泊まれる環境があると泊りに行きやすい。リビングを広く使えて、みんなでワイワイするにはいい環境だし、部屋も広く感じます。浴室が広いのも圧迫感がなくて女性には嬉しいです。(女性/30代/親+子世帯)

お泊りできる広いスペースがあるのが、こどもを泊まらせることができるし、お風呂が大きいのもおじいちゃんおばあちゃん家に行く楽しみになるかと思う。(女性/40代/親+子世帯/共働き)

長い共同生活を想定すれば、親世帯で生活全般が済ませられると、お世話しやすいと思われる。子世帯への介入が少なくなると思われ、プライバシーの点でも良いと思う。(女性/40代/親+子世帯/共働き)

もし実家がこんなふうに近かったら、一人暮らしの母のところへ家族みんなでしょっちゅう泊まりに行き、側にいてやりたいと思います。また、自分が歳を取ったら、やはり娘たちの家族にたびたび来て欲しいので。(女性/50代/親+子世帯)

Cプラン 「効?的な家事動線がある暮らし」

親世帯に大きなキッチンを設けているのは、Aプラン、Bプランと同様です。
Bプランと同様に、ダイニングの横に宿題などができるスタディスペースを設けています。
洗濯機がある洗面所と、キッチン、洗濯物をたたむ和室が並んでいる、効率的に家事ができる間取りです。

Cプランへのコメント

子育て中の者としては、時間短縮がとても大切です。水回りや洗濯後のスペースが効率良くなっているのは、ありがたいです。手伝ってあげるにも、手伝ってもらうにも、効率が良い並びなので。(女性/30代/親+子世帯)

子を親世帯に預けた時に、親世帯が子の様子や気配をキッチンにいれば感じられ、安心して預けられるところがいいと思った。また、家事動線が効率的なのは、親世帯の家事による体の負担が少なくて良いのではないかと思った。(女性/30代/親+子世帯/共働き)

親世帯の方でメインの家事を行うので、家事をする動線がすっきりしている方がつかいやすそうだから。また孫の勉強を見るといいつつも、親世代も、パソコンなど知人とメールのやり取りや写真編集など、事務仕事をするスペースは必要と思うから、その部分もいいと感じました。(女性/50代/親+子世帯/共働き)

毎日、家事をすることを考えたら、家事動線が短く、お風呂や洗面所など、汚れやすい場所が狭く、掃除がしやすい間取りが良いと思います。(女性/50代/親+子世帯)

プランの共感度

A~Cプランのうち、最も共感する間取りを選んでいただきました。

ご自身が「子世帯」の部屋に住む場合
ご自身が「親世帯」の部屋に住む場合
また、A~Cプランについて、ご自身が「子世帯」の部屋に住んだ場合、子どもが大きくなったときや、親の生活が思うようにできなくなってきたときなど、将来的に「子世帯」と「親世帯」で部屋の入れ替えの可能性はあると思いますか。という質問もしました。

「部屋の入れ替えの可能性はあると思う」方のコメント

子供の成長と共に、部屋を個々に必要とする場合が増えてくると思うから。またそれと同時に、親が高齢になるにつれ掃除や身の回りの物ができるだけシンプルにスマートに暮らせた方が、自分のことは自分でできるという年寄り扱いしすぎない環境が作れると思う。(女性/30代/親+子世帯/共働き)

それまでと逆で 食事を子世帯の住まいでとったり、団欒しに来てもらうのも素敵だと思いました。(女性/30代/親+子世帯/共働き)

近居の場合、住居の入れ換えができるというのは、とてもいい考えだと思う。しかし、あったとしても、親世帯に住んでいた祖父母はそのまま、子世帯に住んでいた孫が子世帯に残り、親が祖父母との同居に移るという形が現実的であると思う。(女性/20代/親+子世帯/共働き)

高齢になると 広いスペースはかえって不便です。活動量が増える子世帯が広い部屋で暮らし、親はあまり動き回らなくても良い小さな部屋で暮らすことが理想です。(女性/60代/親+子世帯)
まとめ
3プランのうち、数字的にはCプランがもっとも共感を得られたようですが、フリーワード回答から読み取れる印象深い傾向は、Cプランに限らず、親も子も2世帯分の家事や収納を少しでもやりやすく、またリビング・ダイニングや浴室といったスペースを広くとり、団らんや孫の勉強・遊びの場ができることで、3世代の暮らしが「楽しく」なるしかけへの共感度が高かったことです。
このことは、3世代が継続的に快適に暮らしていくには、単に「近くに住む」だけではなく、2倍になる家事や収納を合理的に処理でき、かつ3世代のコミュニケーションが取りやすい空間構成が必要であることを示しているようです。

また、「親・子の部屋の入れ替えの可能性はあると思う」が60%であったのも、親の高齢化・孫の成長を中心に、暮らしが大きく変化していく3世代にとって、住まいのかたちが「フレキシブル」であることが必要ということでしょう。

今回のアンケート結果をもとに、UR団地での「近居」プランについて、さらに検証をすすめていきたいと考えております。
貴重なご意見をありがとうございました。
さいごに
今回のアンケートでは、単身者や、お子さんがいない方のデータも分析しておりますが、ご報告したレポートには使いませんでした。同居・近居の特性をわかりやすく見せるためです。
みなさまからのデータは大切に扱わせていただき、今後の暮らし方の研究に活用させていただきます。
ご回答いただいたアンケートは、属性別に集計・分析をして傾向をつかむだけでなく、フリーコメントでいただいたご意見を担当者がすべてに目を通し、それぞれの立場・視点で読み込み、議論することで商品開発の参考にさせていただいています。