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楽しく知る「中古住宅 + リノベーション」
リノベーション基礎講座
update | 2015年10月25日

「何から始めればいいの?」

さあ、リノベーションを始めよう

嬉しいこと尽くめのリノベーション。とはいえ、不動産購入+内装工事は、大きな買い物には違いありません。本当に自分に合った住まいを実現するために、まず行うべきことは何でしょうか?

まずは、ひとくちに「リノベーション住宅」といっても、大きく分けて2つの購入パターンがあることを知っておきましょう。

1.中古物件の購入後、自分の好みに内装をリノベーションする場合
2.売主があらかじめ手を入れた「リノベーション済物件」を購入する場合

ここでは1を前提に説明します。ちなみに2の場合は、単純に不動産を購入される場合となんら変わりがありません。

まずは先立つもの、資金計画から

「いきなりお金?!」と思うかもしれませんが、スムーズに事を運ぶために、最初にはっきりとした予算計画を持つことはとても大切です。予算があやふやだと、物件探しで路頭に迷う可能性が多々あります。それに、予算は得てして最初の想定より膨らむものです。迷うことなくスマートに、納得いく物件探しをするためにも、お金の話は先に片付けましょう。

私はいくら借りられる?

まずはじめに、物件購入とリノベーションにかけられる総予算を知る必要があります。次の2点を踏まえて算定します。

1.今、どれだけお金が用意できるのか=自己資金+融資限度額
2.今後、どれだけお金を使うのか=ローン返済+共益費+税金

融資限度額は住宅ローンから借入できる最大の額を指し、借り手の年収からおおよその額が決まります。ネット上のシミュレーションを利用して試算してみましょう。限度額いっぱい借りてしまうと、返済額が大きすぎると感じる方が大多数だと思います。

例えば、税込年収700万円のAさんが住宅ローンを借りる場合、

(A)融資限度額の目安=4,940万円
(B)毎月返済額=13万5千円

となります。 (A: 35年返済・審査金利 3.5%・最大返済比率35% B: 35年ローン元利均等・金利 0.775%)

仮にAさんの手取り収入を月平均45万円とすると、収入の4割近くを住宅ローンにあてることになります。これに共益費や税金を足すと、住宅にかかる出費が収入の3割となります。住宅費にあてる家計の割合はひとそれぞれですが、返済額・期間から融資額を逆算し、自分にあった総予算を決めましょう。 例えば、上記のAさんが毎月の返済を10万円に抑えたいとします。また、将来の買い換え損なども考慮して返済期間を25年で計画するとします。この場合、借入額の目安は3,670万円程度となります。

※ 資金計画は住宅ローンを提供している多くの金融機関ではウェブサイト等でシミュレーションが可能です

総予算を元に、それぞれの費用を考えよう

自己資金と住宅ローンを合計した総予算が決まったら、物件価格・リノベーション費用・諸経費の振り分けを考えます。物件の条件、思い描いている空間などをバランス良く編集しましょう。

リノベーションのコスト

デザインや内装工事のコストは、当然ながら内容によって幅があります。スケルトン(古い内装・設備を全て撤去)からフルオーダーでつくり込む場合の目安は50平米で600万円〜、100平米で900万円~1,500万円です。しかし性能やグレードによって大きく変わってくるので、設計士や工事会社などに事前に相談しましょう。特に、リノベーション費用も住宅ローンに頼る場合、早い段階で総コストを決定する必要があるので要注意です。

物件予算の決め方

総予算とおおよそのリノベーションコストが決まれば、自ずと「物件予算」が決まってきます。物件購入や住宅ローン利用には諸費用がかかるので、この分もお忘れなく。諸費用は物件の売買価格・評価額や借入額によって変動しますが、一般的には物件価格の約5~10%です。具体的な金額の算定は少々複雑なので、不動産仲介の担当者に聞く方がスムーズです。

住宅ローンで、諸経費やリノベーション費用をまかなうことも可能です。限度額内であれば自己資金ゼロで計画できることもあります。
また、ローン返済以外に管理費や修繕積立金などの共益費が発生します。共益費は物件の広さ・管理状況等の違いによりさまざま。ネットの不動産情報などから目安を把握してくとよいでしょう。税金(固定資産税と都市計画税)も物件によってさまざまですが、首都圏の古いマンションの場合は年間で10万円(50平米)~20万円(100平米)程度は見込んでおきましょう。

終の棲家か?期間限定か?

ライフスタイルの変化に応じて、その時々の「理想の家」を住み替えていくのか、これから数十年にかけて住み続ける「理想の家」をつくるのか。住み手と家とのつきあい方によって、物件の条件や価格の考え方は変わってきます。10年後の住み替えを前提とするなら、間取りや立地はもちろんですが、買い替え時の損得なども物件選びに影響してくることでしょう。実際、リノベーション住宅を選択する理由として「家を所有することが目的ではなく、現在進行形の理想をリーズナブルに実現できる」ことを挙げる人も多いようです。

一方、「終の住処」として長期居住を前提とする場合は、極論すれば自分が満足すれば良いのですから、物件の流通性(買いやすさ・売りやすさ)よりもいかに自分の価値観に対してコストパフォーマンスが優れているか、という観点で物件選びをするのが良いでしょう。例えば、車中心の生活であれば、駅から遠いが広い物件、階段が苦痛でなければエレベーター無しの物件など。自分にとって重要ではない条件を外すことで、よりリーズナブルに物件入手ができることもあります。

立地・広さ・築年数……、優先順位を整理してみよう

中古マンションの価格は主に立地・広さ・築年数の3要素で決まります。漠然と「好立地で広くてなるべく新しい物」などと考えていては、物件探しは難航するでしょう。まずは理想とする生活や自分にとって重要な価値を見定め、条件の優先順位を整理してみることが大切です。

環境・利便性・立地のステイタスなどの条件を元に、なじみのない街を調べてみると意外な発見があるかもしれません。広さの判断も、夫婦で将来子供2人の予定だから3LDK=80平米以上、と単純に広さを決める前に、設計者と仮の間取りをつくってみてもいいかもしれません。実はリビングや個室が不要だったり、広い玄関が欲しくなったり……。思いもよらなかった結果になることも。

自分にとっての「理想」を知ることが大事

築年数が古い物件には、新築・築浅ではとても購入できない立地に住むことが可能だったり、周りの建物より高くて景色が素晴らしかったりといった付加価値があることも少なくありません。 大切なことは、お金・生活・物件のあいだを巡って等身大の理想を見つけ、はっきりとした目標を持った物件探しをすることです。その結果、新築物件や賃貸の方が自分の価値観に合っている、と感じることもあるかもしれません。
自分の生活について考え直す時点から、リノベーションは始まっているのです。自分のライフスタイルを自ら編集し、中古住宅という「ストック」を利用して実現する理想の生活。そのプロセスこそがリノベーションの醍醐味なのです。

リノベーションの流れを知ろう

いざ始める前に、リノベーションのおおまかな流れを理解しておきましょう。ケース・バイ・ケースで多少前後することはあるものの、だいたい以下のようなスケジュールで進みます。

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とはいえ、一生に何度もするわけではない家づくりは、誰でも慣れないもの。中古マンションをリノベーションして、自分仕様の暮らしのハコと生活を手に入れよう!とあなたが思い立ったなら、まずはともかくプロに相談することをおすすめします。

知っておきたい!落とし穴

不動産屋を訪ねて自分たちで物件を探し、契約も済ませて準備万端、さあリノベーションしょう!とやる気満々……そんな人が頭を抱えることになりやすい、落とし穴があるのです。

どうしよう、お金が足りない!!
「500万円あれば、リノベーションできる」と不動産屋で聞いて、2000万円の中古マンションを丸々ローンで買った。自己資金500万円をリノベーション費用にあてようと考え、プロの元へ。しかし話を聞いてみると、実際は1,000万円かけなければ、自分たちのやりたいものはつくれないことが分かった!どうしよう、お金が足りない!!借入額を増やすためにローンを組み替えるか、はたまた妥協してリノベーションした家に住み続けるか……。

リノベーションして理想の暮らしを手に入れるために、全部で一体どれくらいかかるのか?物件探しに出掛ける前に、必ず計算しておかなければなりません。リノベーションの総費用とは、物件価格+仲介手数料+不動産所得税+設計料+工事費など諸々。家具も一新しようと考えているのなら、その分の費用もプラスしておく必要があります。

資金計画についても、融資を受けていくら借り入れるのか、無理なく返済ができるよう金額を設定しなければいけません。調達した額のどれくらいの割合を、物件価格にあてればいいのか?きちんと計算した上で、賢く物件探しに出掛けたいところです。

その物件、本当にリノベーションできる?
自分たちで見つけてきた中古マンションが、実は理想のリノベーションに不向きの物件だった!古びた部屋にそのまま住むか、売却しようにも、ただの古いマンションではなかなか買ってもらえない、なんてことも……。他にも、フローリングが不可の物件やユニットバスしか認められていない物件、電気容量が上げられない物件などもあります。建物の躯体の耐久性も、物件購入前に確認しておきたいところです。

不動産の仲介担当者と、リノベーション物件を探しているあなたとでは、ひょっとしたら視点が違うかもしれません。こうした落とし穴を避けるには、最初からリノベーションに理解が深いプロと一緒に物件探しをするのがおすすめなのです。