MUJI INFILL 0

永く使える、変えられる

インフィル・ゼロとは、無印良品がお手伝いするリノベーションの原点です。自分らしく暮らすためのすっぴんの住空間。本当に必要なものだけを残して、暮らしの「0(原点)」をつくり、自由にパーツやアイテム、素材を「+(プラス)」していくという住まいの発想です。家づくりの0地点。それは、未来を自由に描けるキャンバスであるべきだと考えます。一見何もない空間ですがキャンバスとしての素材に目を配りました。これから何をプラスしていくのか、未来の見える器づくりをお手伝いします。

リノベーションのステップ

住まいとしての性能を確認するために、現状から躯体やサッシだけを残して取り除きスケルトンの状態にします。スケルトンの状態で、構造や設備を確認し、暮らしの原点(MUJI INFILL 0)をつくります。

暮らしの原点をつくった後は、家具や建具を配置することで、自由に間取りや暮らしを編集することができます。

Step 1

リノベーション前

Step 2

家の構造や設備を
確認するスケルトン

Step 3

暮らしの原点をつくる
MUJI INFILL 0

Step 4

自由な間取り、
暮らしを編集する



INFILL 0 の3つの要点

「永く使える、変えられる」、そんな暮らしのあり方を実現するために、無印良品のリノベーション「MUJI INFILL 0」が大切にしている、大きく3 つの要点をご紹介します。

1 性能

家を考えるうえで最も大切にしなければならないことは、そこで暮らす人の健康や命の安全が十分に守られていること。季節を問わず快適な室温を保つ高い断熱性や、住宅の土台となるスケルトンの堅牢性、そして、日本で暮らすうえで見過ごせない耐震性など、住宅の根幹となる性能部分を一番大切に考えています。無印良品のリノベーションは、そこから始まります。

高断熱

中古住宅のうち、およそ9割にも及ぶ物件が、断熱性能不足といわれていますが、仕切りのない自由な間取りを実現するためには、住まいの温熱性能は見過ごせない要素です。自由で快適な暮らしのために、隅々の断熱性まで徹底して気を配ります。

だから、高断熱に目を配ります。

間仕切りが少なく広々と過ごせる住まいであっても、冷暖房効率が悪く、毎月たくさんの光熱費がかかるようでは快適とはいえません。MUJI INFILL 0 は広々とした一室空間。だからこそ「窓」と「断熱材」の品質を吟味し、体にもお財布にもやさしい高断熱・高効率の家づくりを徹底しています。高い断熱性能を発揮するために、髪の毛の太さほど(100ミクロン未満)の非常に微細な気泡構造により、最高水準の0.020W/(m/K)の断熱性能を実現する「フェノール樹脂断熱ボード」を採用。これを既存の断熱材の内側に取り付けることで、高い断熱性能を確保します。高性能の断熱材を使用することで、通常の断熱材よりも壁を薄くすることが可能になり、居住空間をより広くとることができます。

既存窓 + 2 =トリプルガラス。

冬は窓から約50%の熱が逃げていき、夏は約70%の熱が侵入してくるといわれています。一般的に窓は、熱伝導率が高いガラスやアルミでできているため、気密性を高めるには窓そのものを2重構造にし、窓間に空気層を設けて熱伝導を絶つ必要があります。MUJI INFILL 0では、断熱効果を究極まで高めるため、既存の窓の内側に複層ガラスの樹脂製インナーサッシを取り付けるという独創的な構造と加工技術を採用。アルミサッシ+木製ガラス戸の3倍もの気密性を実現させつつ、軽くスムーズな開閉を両立させています。例えば、単板ガラスのアルミサッシ窓にこのインナーサッシを取り付けて2重窓にした場合、ひと冬に窓を通して失うエネルギー量を灯油換算で1/3に抑制(※北海道大学調べ)できるなど、飛躍的に冷暖房効率を高めることができます。

全戸温熱シミュレーションで一家一家、診断します。

これまでは、建物を「スケルトン(構造体)」と「インフィル(内装・設備)」に分けて考えることで、合理性と耐久性が生まれ、家の性能は高まるといわれていきました。しかし無印良品は構造や素材だけでなく、空気の質でも家の性能が決まると考えます。「温熱シミュレーション」とはMUJI INFILL 0が提唱する「快適さ」実現の新しいしくみです。これまで個人の感覚で捉えられていた温熱性能をデータで可視化し、一軒ごとに立地条件や周辺環境に合わせ、日射取得と遮蔽をシミュレーションして数値化します。そこから生活スタイルや暮らし方に合わせた快適な室内環境のアドバイスを行います。電気や化石燃料、設備の力だけに頼るのではなく、建物と自然の力を使いこなし四季を感じながら心地よく暮らす、快適で環境負荷の少ない住まいを目指します。

スケルトン

中古マンションを購入する際の一番の不安は、躯体の状態が目に見えないことではないでしょうか。古くなった内装をキレイに整えるだけではなく、配管の位置や漏水リスク、下地の状態など、隠れている構造そのものまできちんと作り直すことで、暮らしの安心に繋がると考えています。

見えない部分が大切です。

目に見える部分だけが「住まい」ではありません。築年数の高い中古物件では、表面が新しく見えても床下に這わせた給配水管の水漏れや雨漏りには十分に目を配る必要が。中古物件といっても、これから先何年何十年と暮らしを共にする住まいの基本性能は、心から頼れるものでなくてはなりません。MUJI INFILL 0が中古物件のすべての設備・配管を確認し、必要に応じて配線・配管、床壁天井の下地を新しくすることから施工をはじめる背景には、そんな理由があります。

古くなった配線配管をやり直せます。

配線や配管は人体でいう血管部分。これからも十分に使えるものかどうか、一つひとつ必ず確認します。これを最新の素材と技術を用いて新しくすることで、永く安心して使える住まいが完成します。

家全体を整えるから、快適が長くつづきます。

住まい全体の温熱性能を見直すことで、長く快適を保つことができます。

見えない下地にも目を配ります。

表面だけ新しくするのではなく、見えない下地も最新の素材でつくり直すことで、統一感のある壁や床が生まれます。
設備や下地が十分に使える場合もあります。一軒一軒、状況に合わせて最適な方法をご提案します。

耐震性

複雑に重なり合うプレートの上に立ち、常に自然災害の危険と隣り合わせにある日本。いつ何が起きるかわからない毎日を少しでも安心して過ごすために、住宅の耐震性は見逃すことのできない要素です。無印良品のリノベーションは、新耐震基準を満たした物件にのみ施工を行います。

永く使える住まいを増やす。

2021年より、住まなくなった団地やマンションを耐震性を確認したうえで買取り、リノベーションしたのちに販売する取組みを行っています。中古物件に新しい息吹を吹き込むことで、安全で心地よい住宅を増やし、大切に住み継いでくれる方に責任を持って繋いでいきます。

中古マンションは、もっと当たり前に。

新築マンションの価格が高騰を続ける昨今。中古物件が徐々に注目を集め始めています。その理由は明快で、中古マンションや団地には、新築では叶わないような贅沢な条件が揃っているから。費用の安さや駅からの距離、日当たり、緑の豊富さ、などなど。都市に住まうことを考えるなら、住宅地としての実績や状況を確認できる中古物件の方が、むしろ都合の良い選択肢とさえいえるかもしれません。一方で、中古物件は目に見えない部分への不安が大きいのも事実です。安心して永く住んでいただくために、無印良品のリノベーションは不安の一つひとつを解消したいと考えています。改修で直せる部分はしっかりと直しますが、それ以前に、家そのものの頑丈さにも厳しく目を配り、基準を満たした物件にのみリノベーションを行うよう徹底しています。

安心のための、リノベーション基準。

無印良品のリノベーションが対象とするマンションは「新耐震基準」を満たした物件のみと定めています。「新耐震基準」とは、1981年6月1日以降、建築確認をする際の検査基準のことであり、「震度6強、7程度の大規模地震でも倒壊しない水準」と認められたことを表すものです。そのうえ、RC造(鉄筋コンクリート)あるいはSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート)の構造を持つ物件のみに対して施工を行うため、中古でも、強度に不安を感じることなくお住まいいただけます。

2 間取り

建売や賃貸住宅のように、住宅を大衆に向けた商品と捉えるならば、一般的なLDKという間取りの考え方は、合理的な設計基準かもしれませんが、本来、一つひとつの暮らしのあり方は多様で私的なものであり、規格化されたあり方とは相容れないものです。自分にぴったりの住まいを実現するために、可変性があり、光と風をよく通す、広々とした無駄のない空間を基本としています。

広々空間

移動できる家具や建具の配置によって、間取りを自由に変更できる柔軟な空間です。壁面を減らし、広々とした空間にすることで、部屋中に光と風を通します。マンションであっても自然を感じる暮らしを実現します。

すべてをつかえる広々空間。

MUJI INFILL 0では、無印良品の「木の家」や「窓の家」と同じく、長い廊下や余分な部屋がない、広々とした空間をおすすめしています。無駄な空間がないため、季節を問わず部屋中が快適で、限られたスペースを最大に使うことができます。

広さは用途を選びません。

間取りを仕切る壁を取り払い、LDKや寝室などといった区分を明確にしない広い空間は、どのような用途にも応える柔軟な住まいのあり方です。家具や家電、建具のレイアウトによって、如何様にでも暮らしを編集できます。

光と風を感じながら暮らす。

明るく風通しの良い住まいは、とても気持ちのよいものです。マンションであっても自然を身近に感じていただきたいから、できる限り空間を遮る壁を取り去り、光と風の通り道をつくります。

可変性

例えば5年後暮らしはどうなっているでしょうか。子供部屋が必要になったり、あるいは、使わない部屋が出来ているかもしれません。そのような暮らしの変化にも我慢することなく、簡単に間取りを変更することができます。いつまでも暮らしやすい可変性の高い空間です。

入居時 子供部屋なし → 10年後 子供部屋あり

将来を見越したムダのない家
|52㎡

子どもが小さい間は、広々としたLDKで家族団らん。子どもが成長したら、共有スペースと個室の間に建具を配して、部屋を大きく分割。本棚などを並べることで、限られた面積でも家族のそれぞれの空間を確保できます。無駄なく空間を活用することで、家族の人数に応じた、時々に快適な空間をつくることができます。

寝室を二箇所に設けた間取り → ワークスペースを設けた間取り

距離を生かした暮らしやすい家
|66㎡

住戸の大きさを生かすため、家全体を見渡せるように対角に空間をつなげたプラン。ベランダから玄関まで光と風の通り道をつくることで、明るく開放的な部屋が広がります。対角線は保ちつつ、住まう人の数に合わせて個室を増減することで、部屋の快適性を損なうことなく部屋を改変できます。

玄関扉 寝室の扉あり → 玄関扉 寝室の扉なし

将来を見越したムダのない家
|76㎡

夫婦2人で広く部屋を使うことを想定したプラン。部屋の中央にまとめた水まわりが緩やかに空間を分けながらも、光や風は部屋全体に行き渡り、広々と快適な暮らしを送ることができます。寝室や玄関の扉の有り無しによって、空間の役割や印象を大きく変えることも可能です。

3 素材

特徴的なデザインの設備や豪華な装飾は扱いません。私たちが大切にしたいのは、あくまでも、住まい手の個性が反映されるような暮らしの器をつくることであり、家そのものの個性を強めることではないからです。一人ひとりの営みを支える背景としての家を形づくるために、使いやすく、心地よい素材と設備を厳選しました。

内装

長く使っても、飽きがこないこと。傷がつきにくく、手入れがしやすいこと。扱いやすく、ストレスを生まないこと…。何気ない細部まで気を配ることが、住まいと永く付き合うためには大切です。過剰も不足もない、吟味された素材が、気持ち良い暮らしの背景をつくります。

フローリング

本物の木の表情です

大きな面積を占める床には、リノベーション空間に合わせたラフな質感のフローリングを採用。ワックスがけのいらないお手入れのしやすさも、永くつきあうための大切な機能の一つと考えました。表面の塗装は傷がつきにくく、木の表情を生かす仕上げです。

壁・天井

家が明るくなります

壁や天井は、クロスにはない質感が楽しめる、艶のないマットな塗装で仕上げます。光を生かしながら受け止めるので、明るい空間に。コンクリート面もボード面も同じ塗装で仕上げるので、空間全体に統一感が生まれます。将来的にご自身で塗装することも可能です。

金物類

暮らしの風景を整えます

レバーハンドルや水栓などの金物類は、いつまでも飽きのこないスタンダードなデザインを追求しました。アルミを曲げ、アルマイト加工を施し、耐久性を高めたバー類は無印良品のオリジナル。エッジの形状も同じなので、手のあたる感触も同じです。

設備

簡潔さのなかに耐久性を備えた、使い勝手の良い設備を厳選しました。誰もが自然と使いこなすことができる、理にかなったかたちや機能が、暮らしの一つひとつを心地よいものにします。自分流に調節も可能です。

組合せキッチン

必要なものを必要な分だけ

必要な機能だけそろえた無駄のないキッチンは、暮らしに合わせて収納をつけ足し、自分流にカスタマイズすることもできます。キッチンと同じ高さ、同じ素材の可動式カウンターとスツールを組み合わせれば、対面型やL字型のキッチンにもなり、いろいろなレイアウトが楽しめます。

箱型キッチン

暮らしの真ん中に置いてください

キッチンを中心に家を考えたとき、空間の真ん中にあるのは箱のようなすっきりとした佇まいがふさわしいと考えました。天板を薄造りに仕上げ、全体を一色で統一。シンクやコンロ、水栓など細かな部品の仕様に目を配ることで、リビング空間にも堂々と置ける家具のようなキッチンができました。

洗面台

収納を自分で編集できます

収納は、必要なものを必要な分だけ。使い方に合わせて編集できる洗面台をつくりました。グレーがかった白はさまざまな素材をやさしく受け止める背景色。空間の掃除のしやすいかたちと素材で、汚れやすい水まわりをいつまでも清潔に保つことができます。

ユニットバス

ひとつひとつを気持ちよく

すっきりとした佇まいと高性能の両方を求めたユニットバス。魔法瓶のようにお湯が冷めにくいバスタブや、やさしい感触が足に心地よい床素材、節水しながらたっぷりの水で体を包み込むシャワーなど、簡潔さのなかにも、確かな技術が込められています。

玄関土間

使い道はさまざま

玄関の床面には、自然の風合いを生かした「モルタル金コテ左官仕上げ」の土間がおすすめです。室内と屋外を自然とつなぎ、多用途に使える空間になるのはもちろん、目地や継ぎ目がないので汚れがたまりにくく、掃除がしやすいという利点があります。

建具

それぞれの間取りに合わせて

部屋の扉や収納部の引戸など、オリジナルの建具をご用意しています。天井高やシーンに合わせて建具の幅や高さを調整でき、既製品にはない自由度が生まれます。大型の連装引戸を取りつければ、扉の開閉によって間取りを変えながら暮らすこともできます。