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団地再生物語
ジャカルタの団地
column | 2014.3.11

今回のコラム「団地再生物語」は、インドネシアのジャカルタの団地について考えてみます。

写真はジャカルタの団地。日本と同じように、住宅供給不足を解消するために1990年代につくられたもので、この多くは老朽化によって建て替えが必要となってきているのです。
たしかに容積率の高い高層の建物に変えた方が効率はいいのですが、しかし熱帯の気候では、こうした中低層建物は風通しもよく、低エネルギーでかつ住み心地のいい家が実現していました。
まだエアコンが普及していない時代の集合住宅です。熱い地域の住宅は、エアコンがなくても快適につくられていたのです。

日本の団地の間取りについては、こちらでも紹介していますが、南北両方に窓が開き、風が通り抜けるようになっていて、夏はとても快適です。冬は今となっては少し寒いでしょう。これは断熱材や気密性の問題です。

一方このジャカルタの団地は、大きな廊下のような共有部分があり、そこで料理をしたり食事をしたりするのです。まるで街の路地のような空間です。そこは半外部空間となっていて、雨や熱い日差しがさえぎられた、とても居心地のいい空間になっているのです。一年中暑さが続くジャカルタでは、冬のことを考える必要はありません。

こうした共有空間は快適なだけでなく、近隣とのコミュニケーションの大切な場所とも言えます。とはいえ生まれ育った場所でもなく、引っ越してきた日から団地に一緒に住み始めるのですから、それを積極的に受け入れるかどうかは、人それぞれです。

日本では、シェアハウスやコレクティブハウスなど、豊かな空間や性能の高い設備などを共有していく、単身者の共同での住まい方が増えつつあります。
それは日本では単身者がすでに30%にもなっている世相を反映しているのでしょう。かつては家と家とのしがらみや事情で都会に出てきた人たちも、年齢を重ねるにつれ、近隣との関係を見直したいと考えたり、将来一人で暮らしていくことへの不安も生まれ始めているでしょう。
また若い人も、共同で暮らす楽しみにあこがれをもったり、共同で住むことで豊かで高性能な住まいを手に入れたい、とも考え始めているのかもしれません。

こうした日本の状況とは、インドネシアはあきらかに違います。まだこれから発展していくこの国では、多くの人が集団でまたは田舎で暮らしてきて、いつかは自分の家や個室を持ちたいと思っています。しかし、高度成長での住宅供給戸数にも限界が訪れ始め、一人一人が大きな家をもつことは現実に不可能です。

ジャカルタには新しい高層マンションが建ち並び、高密度な都市生活が始まっています。もし可能なら、新しく建てるだけでなく、古い中低層の団地をリノベーションして、共同でありながら快適な暮らしを考えてみるのは、一つの可能性かもしれません。

新興国の団地の再生も考えながら、日本の団地の再生を一緒に考えてみるのも有意義なことのように思います。 アジアの新興国の人たちを日本の団地に呼んで、一緒にストック住宅のあり方を考えてみる、そんな試みも面白いかもしれません。皆さんのご意見をお寄せください。

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