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団地再生物語
理想的な親と子の距離とは
column | 2016.7.26

以前のコラム「団地で新しい二世帯の発想「近居」」で、「スープの冷めない距離」に住む「近居」は、「同居」よりもメリットが多いのではないか、というお話をしました。このコラムについては、すでに近居をされている方や、これから、まさにそのような暮らし方を探していた、という方々から、賛同のご意見をいただきました。

しかし、ひとことに「近居」と言っても、さまざまな住まいのかたちがありそうです。また人によってそれぞれメリット・デメリットと感じるポイントが、違うのではないでしょうか。
先月、「親と子の住まい方」についてのアンケートと題して、親と暮らすこと、子どもと暮らすことをテーマに、同居、近居、別居のあり方についてお聞きしました。
詳しい結果レポートは後日ご紹介する予定ですが、まずお知らせしたいのが、なんと19,744件ものご参加をいただいたことです。これは、これまで数々実施してきた住まいのアンケートの中でも最大の回答数となり、本当にたくさんのご意見をお寄せいただきました。まことにありがとうございました。
その中から印象的なご意見をご紹介していきたいと思います。

「同居」のメリット・デメリットは常に「ウラハラ」

今回のアンケートでは、同居のメリット・デメリットと思われる内容を、フリーワードでもお聞きしました。
現在、親子で同居をされている家族の個性や生活スタイルによって、同じ項目が全く「ウラハラ」、背中合わせ・隣り合わせの関係に受け取られている点が印象深かったです。

例えば、(1)「大勢が一緒に暮らすことで、にぎやかで楽しい。いつも一緒に居られる安心感がある」に対して、「常に干渉されてプライバシーがない」というのは最大のウラハラではないでしょうか。
(2)子育てに関してのご意見では、子世帯が共働きであった場合の「夫婦で外出するときに、親世帯に面倒を見てもらえるのは大変助かる」というご意見とウラハラに、「価値観の異なる教育や説教をされるのは困る」というご意見も多かったです。
また、(3)食事の用意に関しても、「仕事で夜遅くに帰ったときに、夕食が用意されているありがたさ」とウラハラに、「食事の時間帯がバラバラでなかなか片付かない」というご意見もありました。
そして、(4)お金の話。「同居で親と子が一つの家に暮らすと、生活費や家賃が浮く」というウラハラに、「部屋が狭くなる。生活費の負担が不公平」という不満が生まれるようです。

さて、これら同居の「ウラハラ」を解決する切り札として、「近居」はどのように受け止められているのでしょうか。ひとつづつ考えてみたいと思います。

(1)近くにいられる安心感とプライバシーの干渉というウラハラについて
これは、まさに「スープの冷めない距離」が全てを解決してくれそうですが、その距離とは具体的にどのくらいなのでしょう?
90℃のスープが60℃まで冷めるのにかかる時間が30分ということから、30分で歩ける距離、すなわち約2㎞という説があるようです。
しかし、いただいたご意見の中で多かったのは、徒歩5~10分が、「安心感とプライバシーの両立」ができて望ましい、というものでした。「30分」では遠すぎるようです。
興味深かったのは、「物理的な距離ではなく、家の明かりが見えるかどうか、がポイント」というご意見があったことです。つまり、家の明かりが見えると不在や帰宅時間が判るので、「最近よく出かけるわねぇ」とか「昨日は帰り遅かったね」というような干渉があり、よろしくないということ。なるほど。

(2)子育てと教育というウラハラについて
今回のアンケートでは、子育てのサポートは、子どもの成長や教育面への良い影響に加え、経済面と家事の分担について同居のメリットを感じる方が多いという結果でした。親世帯に小さい子どもの面倒を見てもらえるのは、共働きの子世帯にとって、同居、近居を問わず大変に大きなメリットである一方、子育て方針への干渉は、近居の場合ある程度の距離が解決してくれるようです。

(3)食事の用意のウラハラについて
「近居」では、食事の時間帯がばらばらでなかなか片付かない、というデメリットは解消できますが、食事を分担してつくる、というメリットも薄れそうです。実際に、「水まわりなどを共有する合理性がないのなら、近居は意味がないのでは」というご意見もありました。

(4)お金の話
すでに同居されている方からは、「近居は理想的だけどお金が二重にかかってしまう。」というご意見が多かったです。たしかに2世帯分の家賃となると経済的にも、また、ちょうどよい距離の物件が2軒も見つかるのか、ということも含めてハードルが高いのかもしれません。
しかしUR団地のように、同じ団地や近隣の団地で、徒歩5~10分の場所にいろいろなタイプの賃貸住戸が用意されていると、例えば親世帯はコンパクトな間取りとすることで、家賃は圧縮できそうです。少なくとも遠く離れて同規模の家にそれぞれ暮らしている場合よりも、交通費も含めてコストメリットは大きいでしょう。
UR都市機構も、団地で近居という暮らし方に割引制度を導入しています。

近距離に多くの賃貸住戸を持つ「団地」は、「近居」に適したインフラと言えるでしょう。
ただ、親世帯も子世帯も同じ間取りでは、「近居」のメリットを最大限発揮するとは言えそうにありません。二つの世帯がどのような家のかたちの組み合わせが、もっとも「ウラハラ」なく、さまざまなメリットを享受しやすくなるのか。例えば、水まわりの機能は片方の世帯に集約する、というようなかたちが考えられるかもしれません。いろいろな可能性を今後、無印良品で考えていきたいと考えています。
みなさんが「近居」するとしたら、どのような家のかたちがよいですか? みなさんのアイデアをお聞かせください。

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