家の購入費用と、賃貸の家賃。生涯支出はどちらがお得?(その1)

初心者が家を買う | 2010.5.11

FUJI 男性・独身。30歳代後半。
私が「実際に家を購入するまで」の顛末記を連載することになりました。
計画倒れに終らぬよう、みなさんの応援をよろしくお願いします。 m(_ _)m



今回から、私が「実際に家を購入するまで」の顛末記をお届けすることになりました。

予算はろくにない、まだちゃんとした計画もない、とないない尽くしの私ですが、そんな私がこの連載を担当することになったのは、「家を買う!」というやる気だけは人一倍あるから、ということだそうで。

また、「無印良品の家に関わる仕事をしているわりには、家に関する知識が少ない」ということもポイントなのだとか。 「無印良品の家」のスタッフは、(私を除いて…)いうなれば「家のプロ」です。商品知識に詳しく、実際にお客様が家を建てるご相談にのった経験もたくさんあります。

でも、この連載を読んでいただける読者の方は、「何度も家を売買したことがある」という方はほとんどいらっしゃらないと思います。そこにギャップがあるのではないか? あるいは、お客様が悩んでいるのに、「無印良品の家」のスタッフが気付いていないことがあるのではないか?

そんなわけで、「家に関する知識が少ない」私に、この仕事の白羽の矢がたった、という次第です(汗)。

ちなみに、私は単なるウェブ担当で、普段お客様とお会いして相談したりする職種ではありません。「無印良品の家」のモデルルームにお越しいただいたお客様のご相談相手は、プロの営業担当者や設計担当者です。ご安心くださいまし。

家を購入するのと、賃貸住宅に住むのは、どっちがお得?


さて、まずは第一歩を踏み出したいと思います。

本来であれば、「家を購入する」場合の第一歩は、「将来の生活設計(ライフプラン)を考える」ことだと思います。

これからの人生、誰と一緒に住むのか? 引越しする可能性はあるのか? 家で過ごすときに何をするのか? 生活設計を考えることで、どのような家が必要なのかがわかってくるからです。

しかし…、私の場合は、恥ずかしながら、ろくに予算がありません。「将来の素敵な生活」をイメージする前に、まずは「賃貸に住み続けるよりも得なのかどうか?」を考えることが先立ちます。

「賃貸に一生住み続けるならば、家を購入してしまったほうが得」という意見を耳にすることがあります。でも、これって本当なのでしょうか?

80歳まで賃貸に住み続けると、どのくらい費用がかかる?


[ FUJI の個人データ ]
現在の住まい  家賃10万円の賃貸住宅
37歳

もし私が80歳まで生きるとして、家賃10万円の賃貸住宅にこのまま一生住み続けるとすると、どのくらいの費用がかかるでしょうか? 月々の家賃以外にも、更新料なども必要ですね。

[ FUJIが一生賃貸に住み続けるときに想定される費用 その1 ]

毎月の家賃  10万円
80歳までの43年間では  5160万円

2年に1回の更新料  10万円(1カ月分を想定)
80歳までの43年間では  210万円

仮に、8年に1回引越しするとかかる費用  60万円(6カ月分を想定)
80歳までの43年間では  300万円
  
80歳までの43年間では  5670万円


こうして考えると、けっこうかかりますね…。ちなみに、こういうふうにして、私が働き始めた23歳から今までに支払った額を計算すると、

[ FUJIが一生賃貸に住み続けるときに想定される費用 その2 ]

23歳から37歳までの15年間で  約2500万円

23歳から80歳までの57年間だと  約8000万円


これまで冷静に計算したことがなかったんですが、すごい額ですね…。

もちろん、私は東京という土地代が高いところに住んでいるうえに、さらに「会社まで自転車で通勤できるところに住みたい」ということを優先し、都心部に住んでいますので、もしかするとかなり高い家賃を払っているかもしれません。一方で、独身ですので、狭い家でも問題がなく、家賃も同年代の家族がいる方にくらべ少ないかもしれません。

大学卒の男性サラリーマンの平均的な生涯賃金は3億円弱、といわれています。


私が調べたこの数字は、2005年調査のものなので、これからは下がることも考えられますし、想定される生涯賃金の約4分の1が賃貸の家賃になってしまうというのは、仕方ないといえども、なんともやるせない気持ちになります…。

毎月10万円ずつローンを返済すると、いくらの家が買えるのか?


では、本日の主題です。賃貸住宅に支払っている家賃を家の購入にあてると、どのくらいの家が買えるのでしょうか?

まずは、住宅ローンを借りると想定して、現在の賃貸住宅の家賃10万円よりも少ない額を毎月返済すると、いくらくらい借りられるのかを調べてみます。

都市銀行のウェブサイトなどには、「ローンシミュレーション」などのページがあります。こうしたもので調べるのが簡単ですのでおすすめです。

[ 金利が2.81%で、毎月10万円以下を35年間返済するローンだと… ]

1か月あたり  9万3580円を返済  するとします。
1年間あたり  112万2960円を返済
35年間では  3930万3600円を返済
  することになります。
上記の総返済額3930万3600円には、金利2.81%も含まれるので、
借り入れ可能額は2500万円  になります。


もちろん、銀行が私に貸してくれるかどうか、は不明です。

また、現在37歳なのに、35年にもわたるローンをかかえる、ということに不安もありますので、25年で返済するローンだとどうなるのかも調べてみます。

[ 金利が2.81%で、毎月10万円以下を25年間返済するローンだと… ]

1か月あたり  9万2876円を返済  するとします。
1年間あたり  111万4512円を返済
25年間では  2786万2800円を返済
  することになります。
上記の総返済額2786万2800円には、金利2.81%も含まれるので、
借り入れ可能額は2000万円  になります。


2000万円あれば、頭金がいくらか用意できれば、都心部でも小さな中古マンションならじゅうぶん購入できます。

私が毎月10万円で借りているマンションですが、もともとは分譲マンションだったものを、オーナーが賃貸しているんです。先日、自宅のポストに入っていたチラシに、同じマンションの同じ階、同じ間取りの部屋が売りに出されているのが掲載されていました。その価格が2000万円ほどでした。まぁ、これは築年数もかなり経っていて、狭い部屋の物件の話です。

私の夢である新築戸建てを都心部に、というのは、住宅ローンの借り入れだけではちょっと難しそうですね…。

単に「住宅ローンで支払う額」についてだけを考えると、やはり家を購入するほうが、家賃を支払い続けるよりも得なのかな、と思えるのですが、家を購入するときに必要な費用は、これだけじゃないんですよね。

家を購入すると、賃貸住宅に住むのと違って、自分でメンテナンスをしなくてはなりません。マンションを購入した場合でも、毎月の管理費は必要です。

また、一軒家でも集合住宅でも、建て替えの必要に迫られる場合もあります。その費用も必要ですね。

ちょっと長くなったので、続きは次回に。

【今回のまとめ】

  • 毎月10万円ずつを35年間返済する住宅ローンを組んだ場合、
    (金利によるが)約2500万円の借り入れが可能
  • 毎月10万円ずつを25年間返済する住宅ローンを組んだ場合、
    (金利によるが)約2000万円の借り入れが可能
  • 長い目で見ると、賃貸の家賃を毎月払うよりも、住宅ローンで家を購入したほうが得だ
  • ただし、建て替えのことなどを考えると、一概にはいえない