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寄稿
なごみの見立てを楽しみたい/小池一子(クリエイティブディレクター)
column | 2005.10.1

なごみの見立てを楽しみたい。

私が「木の家」に住まうなら、テキスタイルを軸にインテリアを考えていきたいですね。
仕事で旅に出ることが多いので、いろんなホテルに泊まります。部屋に入って、自分の持ってきたスカーフとか風呂敷とか何か一枚布を椅子にふわっと掛けてみる。そうするだけで部屋が自分の空間になった気がしてきて、なごむことができる。「なごみの見立て」と呼べますね。
家ならモノクロームのソファにエスニックなテキスタイルを一枚掛けると、部屋の雰囲気ががらりと変わります。布はインドネシアやアフリカ、朝鮮、日本......、現代のデザイナーのものでもいいんです。

カーテンはもっと自由に使いたいですね。現代建築ではわりあいカーテンを嫌うものが多い。私も家ではブラインド派ですし。でもカーテンは、なにも西欧で発達してきた使い方のルールに従わなくてもいい。一本の横棒に布をスッと掛けるだけ、壁面のグラフィックになる。そんなテキスタイルの使い方は楽しいと思いますよ。

現代建築はどこかツルンとした感覚のものが多いですよね。テキスタイルはそうした空間に触感のぬくもりのようなものをもたらしてくれる。いい料亭に行って上布の暖簾を触るときの感覚っていいものですよね。
いま気に入っているのはトルコの田舎で買ってきたボロボロのカーペットです。使い古された絨毯の切れ端を、丹念に一枚一枚手で継ぎ合わせてある。こうしたエスニックなものに、コンテンポラリーなアートやデザインが実によく合うんです。私の家では吉岡徳仁さんの照明具ToFUや大竹伸朗さんの絵画作品と同居していて、お互い共鳴し合っているかのようです。

去年、ミラノと東京で展覧会を行いました。友人でミラノに住むニコレッタ・モロッツィさんといっしょに企画したもの。彼女はデザイナーのアンドレア・ブランジ夫人で、お二人ともMUJIのファンなんです。
ある時ニコレッタと話をしていて、DIY(Do it yourself)というのは、大工仕事のようなものばかり指していて、針や糸を使う女性の仕事が置き去りにされているといった話になったんです。
展覧会のタイトルは「do it ジブンデ」。無印良品のシャツやテーブルクロスやエプロンにニコレッタの刺繍を加えてみました。白いシャツだけで暮らしてもいいけれども、プレーンなシャツに一本自分で赤い糸を線描のように刺繍してみるだけで、世界で一枚だけのシャツになりますよ、という提案なんです。たとえば、お母さんが子どものバッグに刺繍でイニシャルを刺してあげられれば素敵ですよね。

無印良品をもとにあなたはどうする?それを問いかけてみたのです。
「木の家」も住み手に同じ問題を投げかけていると思います。隠す収納と見せる収納というのがありますが、見せる収納上手になれたらいいですね。

自分が夢中になっているものを身の回りに置くと、安心というか、なごんだ気持ちになれます。エスニックやアンティークなものをいろいろ置いて、時間や空間の広がりを呑み込んで、なごみの見立てを楽しむには、やはりベーシックな器がいい。だから「木の家」はおすすめなんです。

小池一子

クリエイティブディレクター。東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。クリエイティブディレクターとして「無印良品」などのコピーライティング、編集、デザイン・プロジェクトを手がける。
1983年~2000年佐賀町エキジビット・スペース主宰。武蔵野美術大学造形学部教授。
編著書に「現代衣服の源流」、「空間のアウラ」、訳書に「アイリーン・グレイ建築家・デザイナー」等。

2005年10月発行 無印良品の家カタログより

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