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寄稿
未来の家プロジェクトのきっかけとなった「未来の住宅」
column | 2010.12.2

東北芸術工科大学の取り組みとこれから
東北芸術工科大学は来年度20周年を迎える山形市にある若い大学です。山形県と山形市が共同で自然豊かな東北に芸術大学をつくりました。自然豊かな里山の中腹に建ち、山形市を一望しています。
さて、未来の家プロジェクトのきっかけとなる「未来の住宅 カーボンニュートラルハウスの教科書」は、ちょうど洞爺湖サミットのころ、同僚の三浦秀一さんに何気なくあることを聞いたのがきっかけでした。

「地球温暖化を防ぐためには二酸化炭素の削減が必要だが、そうしていくと私たちの住んでいる住宅はどうかわるのか。」

三浦先生は淡々と答えてくれましたが、地球環境やそこでの暮らし方をあまり考えたことのない私にとって新鮮なことが多くありました。そこで学生を巻き込み、未来の住宅を模索する勉強会を始めたのです。それらを通じて、二酸化炭素の削減は温暖化防止ばかりではなく石油が枯渇するオイルピークの問題、国家の安全保障にかかわるエネルギーの問題、あるいは石炭から石油にエネルギーの主役が移っていった問題などと密接に関わっていることがわかりました。
また、それらをめぐるヨーロッパの規制が想像以上に進んでいること、具体的にはここ10年ぐらいで、新築の建物は二酸化炭素を全く排出しないカーボンニュートラルにしなくてはいけないということもわかったのです。

そうなると住宅はおのずと変わってきます。できるだけエネルギーを使わない省エネルギーなものにしなくてはいけない。
ちょうど、現在の日本の住宅は大量にガソリンを消費する一昔前のアメリカ車のようなものであることがわかりました。また、使うエネルギーは石油由来のものではなく、バイオマスや太陽光などの自然由来のエネルギーにしていかなくてはならないのです。

これらのことは技術の問題です。知識として、スペックとして取り入れていくことができます。建築家としてはその変化が創る空間がどう変えていくかがより大きなテーマになります。
その答えはそう単純ではありません。いろいろな考え方や答え方があると思います。そこで、まずは単純なモデルをつくり、いろいろな家のカタチを模索しました。いろいろ検討していく過程で分かってきたことは、そのカタチが伝統的な日本の家と近いと言うことでした。
最初はサイコロのような閉じた箱を考えていたのが、日射条件などを含めて考えていくと南側に大きな窓のある家になっていく。材料も二酸化炭素の固定の観点から木造が適当であることが分かってきました。

さて、出版と前後して、環境省のエコハウスモデル事業が山形県で行われることとなり、東北芸術工科大学の建築・環境デザイン学科はアドバイザーとして参画しました。それが山形エコハウスです。あまりにタイミングが絶妙だったので、本で考えたことがそのままに近い形で活かされています。

さて、これと同時期にもう一つのエコハウスに取り組みました。それが蔵王エコハウスです。山形エコハウスはいろいろな点で、世界の最高水準を目指しています。スペックも建設コストもかなり高い。一方、蔵王エコハウスでは、考え方は同じだが、総工費がかなりのローコストでの挑戦です。

さて、このようにいろいろ取り組んできました。現在、山形で2件の取り組みがあります。これらはクライアントが実際にいてアフォーダブル(手の届く)な予算で設計をすすめています。
これらの様々な活動を通して、もっと誰にでも手の届くもの、また周辺の環境が密集していて、敷地が狭い都市部での展開が望まれていることがわかりました。「未来の家」を考えるのはまさにこの要望に応えることになると考えます。ぜひ、楽しみにしていただけたらと思います。

竹内 昌義

1962年神奈川県生まれ。1995年よりみかんぐみ共同代表。 2001年より東北芸術工科大学建築・環境デザイン学科准教授。2008年より同教授。
2009年「未来の住宅 カーボンニュートラルの教科書」を馬場正尊、三浦秀一、山畑信博、渡辺桂と共著。みかんぐみの近作に、「愛地球博トヨタパビリオン」(2005)「伊那東小学校」(2009)「Y150はじまりの森」(2009)など。
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