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住まいのかたちコラム
ものをもたない暮らし
column | 2008.11.25

私たちの生活は油断していると、ものがどんどん増えていってしまいます。街中にものはあふれ、読みたい本もあるし、雑誌もあるし、CDだってほしいし、外で何の気なしに買ってしまう小さなものの集積が、家の空間を押しつぶしてしまいそうです。しかし中には、ものとの付き合い方がとても上手で、最小限のもので暮らしている人もいます。

私たち「住まいのかたちを考える」プロジェクトチームでは、お客さまの家を訪問して住まいの観察を続けています。この訪問調査でお伺いしたある一軒のお宅は、見事にものを持たない暮らしをしていました。
例えば靴の数では、ご主人は6足(スニーカー3、革靴2、テニスシューズ1)、奥様は4足(スニーカー1、革靴3)、お子さまは2足、家族3人で合計12足。あなたの持っている靴の数と比べてどうでしょうか?

ひとつの靴を完全に履きつぶさなければ次を買わない、という決めごとがあるそうです。お部屋を見渡して最も象徴的なのは、シャツ。ご夫婦合わせて全部で10枚、きれいにクローゼットに吊るされていました。
CDは2枚ぐらいありましたが基本は持たない。レンタルサービスや音楽ダウンロードサイトなどを利用した後、iPodへ格納。本も持たず、すべて図書館で借りてくる。皿や茶碗もすべて最小限。食器棚がなく、ガス・シンクとキャビネットの間の引き出し2段分のスペースを食器棚がわりとなっています。

また羽毛布団は、使用しない季節だけ預かってもらえる外部サービスを、お子様さまのベッドも成長に合わせてベッドのサイズを変更できるよう、レンタルサービスを利用されていました。

ものが少ない上にさらに整理整頓が好きで、シャンプー、リンスなどは詰め替えボトルを活用し、水まわりも整然としていました。収納スペースのあらゆる部分に余裕があり、ものは定位置へと納まっています。
使ったらしまう、こうした暮らしかたが徹底していました。そもそも、ものが少ないから、外にはみ出ることはありません。洗面脱衣室の洗面台の引き出しには、詰め替え用のシャンプーや洗剤など、数個がきれいに納まっていました。なんと調味料もすべて冷蔵庫の中にしまってあり、すっきりとしていました。

余分なものは買わないし、余ったものは冷凍などして保存されています。ものを持たないだけでなく、無駄にもしない。キッチンにはみ出しているものは鍋一つありませんでした。
本当に見事で、ここまでできるのだと感心させられます。ものを持たないということは、本当に必要なものが明確になっており、その結果、ものをきちんと管理している状態が実現できているとも言えます。どこに何があるのか、いつも把握できているということです。

もちろんこうしたことは誰でもできる訳ではありません。
コラム「収納の知恵」では、「つきつめると、収納とはものをいかに捨てるかということではないか」と書きました。しかし、このお宅は、ものをいかに捨てるか以上に、「いかに買わないか」という徹底した信念がありました。
世の中には収納術と呼ばれる情報は山のようにありますが、結局のところ、収納テクニックよりも、ものとどう向き合うのかの意思をはっきり持つことが重要なことと言えそうです。そして今回のお宅のように、始めから買わないという選択肢もあるのだと思います。

昔のように蔵があり、貴重で高価な家宝を保存し、受け継がれていた時代でもありません。現代は、何かを持つことより、いかにものを持たないかの方が重要で、かえってその方が豊かではないかとも思いました。また、ITを駆使して必要な情報をコンパクトに整理していくことも現代だからできることと言えそうです。
ものを持たない生活。ものを買わない生活。いかがでしょうか。ものとの向き合い方を考えさせられた訪問調査でした。
ものをもたない工夫や知恵がもしありましたらご意見を投稿ください。

2008年11月25日配信 無印良品の家メールニュース Vol.112より

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