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住まいのかたちコラム
農業のある暮らし
column | 2009.5.19

先日、テレビで「広がる農業ブーム」というのが紹介されていました。
それは本格的な農業というよりも、ほんの少しのスペースがあればできる家庭菜園のようなもので、みんな楽しそうに野菜をつくっていました。
身近なところでも、家庭野菜や健康に安全な有機野菜の情報、週末に農業を行う人など、よく話題になります。自然にふれることは、人間の根源的な感性に刺激があることでもあるようです。

確かに土にふれると心が癒されます。緑を見るとほっとします。しかし最近のこうした農業ブームはもっと根源的な現代人の抱える問題であるようにも思えます。

アメリカにとても素敵なまちがあります。サンフランシスコの州都サクラメントの近くにあるデービス市内の「ヴィレッジホームズ」というニュータウンです。
1981年にできたこのまちは210戸243,000平米と小さいながらも、緑豊かな自然に囲まれています。
太陽光エネルギーがうまく使われており、各家庭の温水は太陽光パネルでつくられています。
敷地には適度な起伏もあり、自然と一体になった風景はまるで公園の中を歩いているようです。その敷地には車が中に入ることができません。
あらゆるところに実のなる木が植えられていて、住人はすべて自由にその実をとって食べてよいことになっています。

まちの中心には大きな芝生の広場や集会室、オーガニックレストラン、保育施設などがあります。子供達は目の届くところでいつも生活し、そこでは車の心配をせずに安心して、そして安全に住むことができるのです。
それぞれの家には小さな畑もあり、またそれでも足りない人は、まちにある農園を借りることもあります。住人の話では自分たちの生活に必要な食物の95%は村の中の農産物でまかなえているといいます。

このヴィレッジホームズの住人たちは農業で生計をたてているのではなく、このまちにある大学や企業で働く人たちです。
農産物はあくまでも自分たちが必要な分だけを栽培するのが基本です。自分たちが必要な分とはいえ、全てを一気に自給自足ができる訳でもなく、時間はかかります。

自給自足によって食に対する不安を取り除くことは、どれだけ暮らしの安心感が持てることでしょうか。
生活にかかるコストを抑え、それぞれが自立する仕組みを考えることはとても大切です。
しかしもっと大切なことは、住人同士が同じ意識を持ってお互いの暮らしをサポートし合うということです。
農業のある暮らしは、農業を通して地域のコミュニティができる仕組み、とも言えます。

大きく価値観が変わろうとしている昨今、最近の農業ブームは"人と人とが一緒に住む"というコミュニティづくりへのあこがれかもしれません。
ただ楽しいとか、おいしいとかいうのではなく、新しい暮らしや新しいコミュニティを多くの方が求めていることのあらわれともいえないでしょうか。

皆さまは、農業のある暮らしについてどう思いますか?

2009年5月19日配信 無印良品の家メールニュース Vol.135より

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