内と外との境界線を考える ~ベランダを広げることはできるか~

住まいのかたち | 2011.8.2

今回は、内と外との境界線を考えてみます。
家のリノベーションをするとき、ぜひ考えてみたいのがベランダという空間です。
マンションのリノベーションの場合、家の面積を大きくするという変更はできないのですが、逆に家を小さくするという考えはできます。ベランダを広くしてしまうのです。
子育ても終わって、あまっている部屋があるなどという方もいらっしゃるかもしれません。いっそのこと持ち物も整理して、小さくシンプルに暮らすというのはどうでしょうか。

小さくするといっても、その分広がる外部空間は、家の外と内の間のちょうど中間のようなものです。ベランダにも部屋の床と同じようにデッキをはり、リビンングが外まで広がるようにしつらえることで、昔の縁側のような半外部空間ができます。
空間の広さを感じながらも、実際は部屋の外。気候のよいときなど、外で食事をしたり、昼寝をしたりというのはとても気持ちのよいものです。自然とのつながりが少なくなりがちな時代ですが、閉め切ってクーラをかけるのでなく、外と一体になって空間を使うというのはどうでしょうか。

ベランダの幅は普通1メートルぐらいです。洗濯物を干すともうそれ以外にはなかなか使い道がありませんが、2メートル以上とれば、そこにはテーブルを置いたり植栽を施したりも可能です。
外の音や空気に触れて過ごす時間はなかなか気持ちのいいものです。都会の中でも鳥や虫の声も聞いたり、風の音を聞きながら暮らすのはどうでしょうか。

家の面積を減らしながらも、外部空間が広がることで、かえって家の面積が広がるようにも感じるかもしれません。ものを減らし、必要なものだけで暮らす、外の空間を演出して家の内側の延長のようにつくるのです。

こうした家の大きさの変更は、究極の省エネルギー化になることも大事な視点です。空調管理しなければならない面積を小さくすることが、エネルギーを使わない最大のポイントにもなるのです。さらに窓も高性能の断熱サッシを使うことで家の断熱性能は格段にあがります。

とはいえ、サッシの位置を変えるのは大仕事です。サッシは一般に共有部分であり、専有部分と違ってそこを壊すのは普通、認められてはいないでしょう。また万一、雨漏りでもして下の階の家に水を漏らしたら大変など言われることもあるかもしれません。いろいろな課題が突き付けられます。
しかし、こうしたリノベーションは今後多くの方が望まれるようにも思います。

上記のように、半分だけバルコニーにするというのもあります。
いかがでしょうか? みなさんのご意見をお待ちしています。