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住まいのかたちコラム
マンションの自宅や共有部分でお店を開く
column | 2012.10.16

今回は、マンションの自宅や共有部分でカフェやお店、仕事場を持つことについて考えてみたいと思います。自分でできることを、自分の住むところで行い、少しの収入を得るしくみがあるといいと思いませんか?

マンションにオフィスを構えることは不特定の人が出入りすることになるので、セキュリティーへの配慮から、一般的に禁止されていることがほとんどです。しかし、せっかくマンションにたくさんの世帯が一緒に住んでいるのだからこそできること、住人同士が一緒に行うサービスや仕事へのさまざまな可能性があるように思います。

たとえば、ブックカフェや子育て支援施設、老人介護施設、工房・アトリエや手芸教室、スタディールーム、ヨガやジムなどのスポーツ施設、塾などの子供の教育支援などもいいかもしれません。
マンションの大きさにもよりますが、小さなマンションだと、そこに住む人だけが利用するサービスではなかなか仕事として成立しません。そこで、「近隣の住人にも開く」という考え方が必要になります。

実際に行われている「食堂付きアパート」というプロジェクトをご紹介しましょう。小さな賃貸アパートを「SOHOとしても使える5住戸+食堂+オープンオフィス」にしているものです。
食堂は一階にあり、その一角に住人たちが使える打ち合わせコーナーがあります。近隣の人たちも利用できるカジュアルなカフェダイニングで、人が来たらここでお茶を飲みながら打ち合わせをしたり、毎日の食事もここでとったりと、とても便利です。

このカフェダイニングを運営する人には、このアパートの管理や清掃を兼任してお願いすることになっているため、住人の管理費は安くなります。そして、住人には少し安く食事を提供し、いつも住人が出入りする、にぎわいのある場所になり、このカフェダイニングを中心に住人同士のつながりが生まれていきます。こうして運営する人も住人も、双方のメリットが生まれます。

このカフェダイニング、現在運営者を住人や近隣の人で、交代制で運営するという方法も現在計画中とか。そうなればこのアパートの住人は、ここで少しの収入を得ることにもなるでしょうし、住人みんなのダイニングという場所という意味合いもより強くなっていくでしょう。

この「食堂付きアパート」は、間取りにも特徴があります。住戸の奥に行くほどプライバシーが高まるような間取りです。玄関の扉一枚で内と外とを遮断する通常のやり方とは違い、部屋の内と外がゆるやかに繋がっています。

共用廊下が広く、まるで街の路地のようにつくられています。各部屋の前の空間はテラスなので、ここで朝ご飯を食べたり、SOHOの看板を出したりと、住人は好きなように使うことができます。鉢植えをうまく置けば、ゆるやかに廊下と部屋の間を遮ることもできます。
入り口はガラス張りで開放的につくられ、中と外がゆるやかにつながっています。住戸として使う人は明るいリビングダイニングとなり、SOHOとして使う人はそこが仕事場やお店などにも使えます。もちろんカーテンなどで目隠しをすることはできますが、開くことができる、開き方を選択できるということが大きな利点です。寝室や水まわりは奥の方に配置し、しっかりとプライバシーを確保した空間になっています。

ここでは、いわゆるオートロックなどの通常マンションで言うセキュリティーはありません。しかし、いつも人の目がある通路や近隣通しのコミュニティーは、お互いの安全を補完していくことになるでしょう。
住むところと働くところが一緒であったり、近かったりすることで、通勤の時間も節約できます。住人同士の中で、またオープンオフィスの中でお互いの仕事も生まれるかもしれません。屋上に共同菜園を施し、野菜などをみんなで育てるというしかけまで用意しています。みんなで一緒に食べ物を育てることでさらに近隣のつながりも強くなるでしょう。

住むところと働くところ買い物をするところ、そうした用途別に街の中を区分してきたのが近代の都市計画ですが、本来住むところ、働くところ、ものを買うところは近い方が自然のようにも思えます。

産業の効率化が進み、大企業が経済の中心となり、会社に帰属する人が多くなったのも今の時代の特徴ですが、それもかげりを見せているかもしれません。
また子育てを終えた主婦がいざ仕事をしようと思ってもなかなか仕事が見つかる時代でもありません。ならばいっそのこと自宅で小さなカフェや託児所をするというような仕事の仕方もあるかもしれません。暮らしていくのに必要なことは身の回りにたくさんあるはずです。大きな収入にはならなくても、少しの収入になることで、また近隣住人のお互いのサービスをうまく交換することで、支出を減らす工夫もできるかもしれないのです。

そして住人だけでなく、地域の人達の交流の拠点となるような共同住宅は、周りの住人達の意識をも変えていく起爆材になっていくように思います。
「集合住宅の自宅や共有部分でお店を開く」という考え方いかがでしょうか。みなさんのご意見をお寄せください。

今回ご紹介した「食堂付きアパート」は建築家仲俊治/仲建築設計スタジオの作品で、東京武蔵小山に計画中のアパートです。

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