家を建てるのはいつ?(前編)

住まいのかたち | 2013.5.14

「家」は、「人生で一番大きな買い物」と良く言われます。金銭的なこともありますが、ほとんどの方が一生にたった一度の買い物であることからそう言われるのではないでしょうか。
「どんな」家を、「いつ」、「どこに」建てるのかは、とても大きな決断であることは間違いありません。だからこそ「どんな家が良いか」といった情報は世の中にたくさんあふれています。
しかし「いつ建てるのか」については、意外に誰も教えてくれません。
結婚を機に?子供が学校に上がるとき?などなど、人それぞれです。そして、家を建てるタイミングにはこの「人それぞれの事情」とは別に、「世の中の事情」というものもあります。今回のコラムではこれについて考えてみました。

昨今、「金利先高感」「脱デフレ」そして「消費税率アップ5%→8%」というように、世の中の状況が大きく動き始めています。特に、「消費税率アップ」の前と後では支払う金額の差が出ることから、「人それぞれの事情」はいったん置いておいて、とにかく一刻も早く家を建てた方がよい、というような情報が一気に出回り始めているようです。
もちろん、近い将来に家を建てたいと考えている方は、この「世の中の事情」をきちんと把握しておく必要があります。「土地には消費税がかからない」ことや、「住宅は今年9月末日までに契約した物件であれば、消費税率が上がる予定の来年(2014年)4月以降に家の引き渡しが行われても、現状の5%の消費税しかかからない」ことをご存知ない方は意外と多いようです。

実はこの「住宅は今年9月末日までに契約した物件であれば、消費税が上がる予定の来年4月以降に家の引き渡しが行われても、現状の5%の消費税しかかからない」というのは、住宅のみの例外施策なのです。
もし「消費税率アップ前」という機会に家を買うとしたら、契約のリミットは今年の9月末日。10月に契約をした家が、来年(2014年)4月以降に家の引き渡しが行われた場合は、8%の消費税がかかってしまうのです。来年3月末日までに引渡しを完了すれば良い、ということになりますが、ご契約してからお引き渡しまでの期間は、無印良品の家の場合で平均6ヶ月以上かかっているのが現状です。
これから確定していく住宅の消費税率改定まわりの様々な情報を確認しつつ、今建てることがお得なのかどうかを考えていくべき、というのが「世の中の流れ」というわけなのです。

さて、「いつ建てるのか」とはことなり、「どこに建てるのか」を決めるのは、容易ではありません。建てる土地が決まっていない場合、まずそれを決めなければならないからです。
現在住んでいる場所に近いところなのか、職場に近い方がよいのか、あるいは実家の近くにするのか、など、住むエリアを決めるのには家族会議が必要でしょう。そして、そのエリアの土地がいくらくらいするのか、そこにどのくらいの大きさの家が建てられるのか、そもそも自分は総額いくらの家を建てられるのか、それは消費税率が変わるとどうなるのか、など…考えだすと、夜も眠れなくなりそうです。
住宅ローンや返済金額を計算し、「どのくらいの予算を土地にかけられるか」は専門家にアドバイスを受けるとしても、自分の家を「どこに建てるのか」は自分で決めなければなりません。

人間同士の出会いに「縁」があるように、土地との出会いはまさに「縁」と言えます。欲しいと思った時に、一目で気に入り、予算もぴったり、すぐに契約して手に入れた、という場合の方がむしろ珍しいのです。
土地の場合、予算は合ってもどうしても住む気にならない場合もあります。気持ちも予算も合ったのに申し込みのタイミングを逃し、一足先に別の人の手に渡ってしまうこともあったり、長い期間をかけてたくさんの土地をみたが、結局最初に見た土地に決めた、なんて場合もあります。絶対このエリアに住むと決めて、土地が売りに出されるのをずっと待つ、なんていう方もいます。土地探しにどのくらい時間がかかるかは「誰にも読めない」ことだと言えます。なんだか異性との出会いのようですね(笑)。

「どこに建てるのか」早く決めようと思っても、思うようにならないのが土地探し。とはいえ、家づくりは決まった土地がないとスタートできない、というわけではありません。実際には土地そのものはそんなに気にいっていなくても、住む家をその土地の特長と家族の住まい方にあわせて建てれば、とても良い家になります。
「いつ建てるのか」という「世の中の流れ」を考慮し、「どこに建てるのか」余裕を持った家づくりを今からはじめませんか。