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「縦の家」が目指したもの
隅々まで通る光の階段
column | 2014.4.29

無印良品の家は、5年ぶりの新商品「縦の家」を発表しました。この連載コラムでは、この「縦の家」が都市に住むことのデメリットをどう解決したのかをご紹介していきます。

「都市に住む」ことはとても魅力的です。なんといっても便利ですし、最新情報もあふれていて、洒落たカフェや、美味しいレストランも身近にあります。
しかし、魅力的であるからこそ、都市に人々が集中するため、戸建て住宅を建てて住むには、広さや日当たり、風通しなど、郊外では当たり前にある環境がなかなか確保しにくい、という現実があります。「都市に住む」ということは、その利便性と引き換えに「狭い、暗い、寒い」をある程度我慢しなくてはならない、とあきらめている方がほとんどなのではないでしょうか。

「都市に住みたい」でも「狭い、暗い、寒い」も我慢したくない、というお客様の要望をなんとかかなえられないか、というのが「縦の家」の開発のきっかけになりました。
とはいえ、そもそも物理的に狭いものは、狭い。日が当らなければ、暗いし寒い。やはり都市の限られた土地に住む以上これは避けられないのではないか? と一時は「都市に一戸建て」は合理的な暮らし方ではない、と結論を出しかけたこともあります。

しかし、「未来の家プロジェクト」から一緒に木造住宅と温熱性能の関係を研究している東北芸術工科大学と共同して、既成概念に捉われず、新しい発想とその発想を支える新技術・新素材を積み上げることで、「都市に快適に住む」をあきらめない、誰も見たことのない都市専用3階建て住宅「縦の家」をついに完成させることができました。

まずは、最もあきらめざるを得ないと思われる問題、「狭い」をどう解決しているかについてお話ししたいと思います。
「都市の限られた敷地でも広く住みたい」。この時にまず考えたのは、廊下や階段などの移動のためのスペースをなくせば良いのではないか、ということです。

「縦の家」では、まずこの「階段」の発想を変えようと思いました。なるべくゆったりと大きく、そして光と空気が通るスケルトンデザインとし、それを家の中央に配置してみました。ベンチのように座って寛ぐこともできるくらい、ゆったりとつくられたこの階段は、上下だけでなく左右、平面的にも空間を緩やかにつなぎ、時には居住空間としても機能し、さらに3階の上部から入ってくる明るい光を、家全体に行き渡らせる役目を担うのです。

真ん中にある階段を通して、部屋が縦にも横にも緩やかにつながることで、家全体が一つの空間として感じることができるのではないかと考えたわけです。この階段を中心に、部屋から部屋へ、ダイレクトに移動ができるように間取りを工夫することで、廊下はなくすことができました。

これまでも無印良品の家「木の家」では、中央に大きな「吹抜け」を設け、家の空間を一体化することを実践してきましたが、都市部の限られた敷地では、使える床面積を少しでも増やしたいので「吹抜け」を設けることをあきらめがちです。しかし、「縦の家」ではこの「吹抜け」を新しいデザインの階段に置き換えたのです。

この発想で、限られた空間を広く感じることがほんとうにできるのか、階段を居住空間のように使えるのか、ということを確かめるため、東北芸術工科大学のキャンパスに実物大の模型をつくって検証しました。想像以上に広く、楽しい空間となることが確認でき、この発想は「いける!」とそこに立ち会った開発スタッフ全員が確信し、この「縦の家」の商品開発はスタートしたのです。

そうして出来上がった「縦の家」はこのような感じです。

この「縦の家」の間取りは、敷地がわずか20坪ほどあれば建てられるプランでありながら、2階も3階も20帖以上の広さを感じ取ることができ、「狭さ」は全く感じられません。驚くほど開放感のある「縦の家」をぜひ実際にご体験ください。

この「縦の家」の広さを感じる秘密は、中央の階段だけではありません。上の断面を見てお気づきの方もいらっしゃると思いますが、それぞれの階の床の高さが少しずつ異なっている、「スキップフロア」を採用しているのです。この「スキップフロア」が上にも下にも緩やかに空間をつなげ、「広さ」を感じるしかけとなっているのです。

この「スキップフロア」は、広さを感じさせるだけでなく、もっと色々な効用があります。これについては次回のコラムでお話ししたいと思います。ご期待ください。
皆さんは、このような新しい発想の都市型住宅「縦の家」、どのように感じましたか? ぜひご意見をお聞かせください。

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