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「縦の家」が目指したもの
「縦の家」の夏の室温がすごいことに(前編)
column | 2014.9.2

以前のコラムで、「縦の家」は日当たりや風通しの条件の厳しい都市部でも、少ないエネルギーで夏涼しく冬暖かく暮らすために、さまざまな新しい発想と技術が導入されているとお伝えしました。

今回は、その効果を実証するため、東京都荒川区に建つ実際の「縦の家」CASE7プランの室温測定結果をご報告します。

<2014年8月10日 午前11時の「縦の家」の室温>

今年のお盆も暑かったですが、そのお盆前後の時期(8月10日~20日)の外気温と、3階から1階、さらに床下までの「縦の家」の室温を測定したデータが下のグラフです。

実はこの測定期間には、アクシデントなどもあり、結果として非常に多くの示唆を含んだグラフとなっていますので、順を追って詳しく解説していきたいと思います。

1階と3階の温度差なんと0.4℃
まず8月10日朝9時から、13日の朝9時まで[期間①]をご覧ください。

いずれの日も外気温は、日中30℃を大きく超えていますが、室温は1階から3階まで見事におよそ24℃で一定しています。
途中、11日のみ一時的に室温が上がっているのは、この日は2階のキッチンで無印良品のお菓子調理の撮影があったからです。

10人近い撮影スタッフが朝8時から1日中、調理の様子を写真撮影した結果、夕方6時頃に2階の室温が2℃ほど上がり、3階との温度差が1.5℃まで広がったという結果が出ており、(それでもたったの1.5℃です!)そういったことがきちんと反映されていることで、このグラフの信ぴょう性の高さを示していると言えるでしょう(撮影はその後、2日間行われていることもグラフから読み取れます)。

通常、次世代省エネ基準を満たす日本の住宅では、各室で個別にエアコンを使っていても、階が1層上がると1~2℃室温が上がるのが普通で、それでもその温度差であればかなり快適とされています。
「縦の家」の場合、細かくデータを見ると、1階と3階の室温差が最大でも、この[期間①]で、0.4℃しかありません。

この期間をさらに詳しく見てみましょう。

例えば8月10日朝11時をみてみると、外気は34.4℃まで上がっていますが、室温は、1階23.6℃、2階23.6℃、3階23.3℃と、0.3℃しか全体で温度差がないばかりでなく、3階の室温が最も低くなっており、上階に行くほど「むっとする」という私たちの常識は見事に覆されています。

これは、3階に設置しているエアコン1台と、1階に置いたサーキュレーターを稼働しての結果です。「縦の家」全体に行き渡りながら降りてくる3階のエアコンからの冷気を、1階のサーキュレーターで、もう一度上に吹き上げて循環させる、という非常にシンプルな全館空調の手法が、「縦の家」の高い断熱性能と併せて、功を奏していると言えるでしょう。
この手法は、効果が高いだけでなく、ルームエアコン1台だけとシンプルなだけに、高い経済性も併せ持っています。
東京都荒川区の「縦の家」CASE7プラン(延床約33坪)を24時間全館冷房してグラフのような効果を得ながら、エアコンとサーキュレーターを合わせた運転コストは、実際にかかった電気代から算定すると1日約250円なのです。

気になっている方もいらっしゃると思いますが、この「縦の家」の24℃という室温は、エアコンの自動設定となっており、この温度は通常の生活においては「冷えすぎ」と言えます。
東京都荒川区の「縦の家」では、完成現場見学会を開催していて、大勢の方が暑い中駅から徒歩で見学に来られるため、この温度設定にしてあります。個人差はありますが、通常は26~28℃の設定で十分快適であり、そういった設定温度にすればこの電気料金はもっと下がってきます。

「縦の家」では、なぜエアコンの存在を忘れるのでしょうか
夏の「縦の家」は、縦につながる「一室空間」を、3階のエアコン1台で家中を緩やかに24時間冷房しています。
外気温が30℃を超える日に「縦の家」をご訪問頂いた方は、家に入ると「自然に涼しい」と感じ、しばらく室内を見学している間に、「エアコンの存在」と「外が暑い」いうことを忘れてしまい、帰り際に外に出た瞬間に「わぁ、外はこんなに暑かったのですね!」とおっしゃる方が本当に多いのです。
このように感じるのも、「縦の家」がグラフのように、家中どこも同じ室温だからでしょう。
オフィスやお店などでも、暑い日はエアコンをガンガン効かせていますが、エアコンの吹き出し口のそばに行くと涼しく、離れたところでは少し暑い、と感じるのが普通です。外出から自宅に帰ってきて汗ばんでいるときは、思わずエアコンの吹き出し口の下に行って、しばし涼む、という経験ありませんか? それでは扇風機とあまり変わりません(笑)。エアコンの本来の目的「冷房」=「部屋を冷やす」目的が果たされていないのが残念ながら日本の家で、「エアコン」とは「扇風機よりもっと涼しい風を送る装置」であり、エアコンを動かすと、涼しい場所と暑い場所ができる、という認識に私たちはなってしまったのではないでしょうか。

そして、部屋全体を涼しくしようとエアコンがぶんぶん回ることで冷風が直接体に当たるため「エアコンの冷房は不快」という感覚を生んでいるようです。
「縦の家」は、家のどこにも温度差が少なく、そもそも各部屋にエアコンがないので、冷風が体に当たることもありません。だから、極めて「自然に快適」であり、「この家がエアコンで冷やされている」という感覚を失うのです。

しかし。ただ単に「断熱性能が高く、上手にエアコンを使っていて、家中の温度差がないから、とても快適」というのであれば、今回のコラムはこれで終了となります。実は、このグラフは、それ以外にも重要な要素を、8月13日の室温が上昇し始めたあたりから、雄弁に語っているのです。
なにを語っているかは、「後編」に続きます。乞うご期待。

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