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vol.3 季節を眺める家
「無印良品の家」で暮らす人を訪ねる長野への小旅行。
フードジャーナリスト、エッセイストの平松洋子さんが
イタリア料理店「トラットリア パパオルソ」シェフKさんの
「窓の家」に会いに行きました。
interview | 2010.7.9

プロローグ

窓は、自然への入りぐち

視界がぱあっと開けて、緑の光が束になって家のなかに流れこんできた。二階へつづく階段をとんとん上がったすぐ目のまえ。木立の碧を、水を湛えた青田を、積雲の白を、一枚のおおきな窓がぜんぶを光に包みこんで取りこみ、家のなかへ惜しげもなく招き入れている。なんという贅沢。はじめて訪れた家の居間で、迂闊にもわたしは声をなくしてしまい、挨拶もそこそこに立ち尽くして見惚れた。
家のなかの窓でありながら、それは、外に向かって開かれた入りぐちなのだった。ただ家のなかで暮らしているだけで、意のままに自然がやってきて、戯れてゆく。四季が移ろって朽野となれば、この窓から森閑がひろがるのだ。キッチンに立たせてもらい、居間越しに「自然への入りぐち」を眺めながら、つよく思った。窓は、自然とともに暮らすためのみごとな装置でもある、と。
二時間ほど過ぎたとき、とつぜん雷雨に見舞われた。これは窓の贈りものだろうか。ついさっきまでの溢れんばかりの光は失せ、銀竹のような雨飛沫。その現代美術を思わせる圧倒的な風景を目前にして、いつまでも飽きなかった。

平松洋子|ひらまつようこ
フードジャーナリスト、エッセイスト。
日本国内はもとより、世界各国の人々の暮らしぶりに直に触れながら、食文化と暮らしのかかわりをテーマに執筆活動を行っている。
著書に『買えない味』(筑摩書房)、『夜中にジャムを煮る』(新潮社)、『焼き餃子と名画座』(アスペクト)など多数。

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