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vol.22 シェアする家
「無印良品の家」で暮らしている方を訪ねて冬の福岡県大野城市へ。
建築家の末光弘和さんが、
4世代7人が暮らす「木の家」に会いに行きました。
interview | 2017.3.28

「無印良品の家」に寄せて | 建築家 末光弘和さん

陽だまりをつくる工夫

日頃から、住まいを建てる時、そこの敷地の立地環境を良く読み解きながら、自然の恵みを最大限生かして建てるのが大切だと思っています。まずは、立地です。ここは、大変立地条件に恵まれていました。高台にあるため通常の住宅地に比べて隣の建物などの影響を受けにくく、日当たり・通風環境が良いので、お日様の光や夏の涼風などを取り入れるには適しています。良かったのは、南側前面に空地(墓地)があることでした。墓地というとネガティブなイメージもありますが、考えようによっては、ずっと空地で前にマンションなどが建つこともなく、日照が半永久的に約束されている場所でもあるわけです。前面道路も路地のような細い道なので、あまりプライバシーを気にすることなく、開口部を開けることができるという好条件でした。この地形を読み解いて、ここに建てる決断をしたのは、住まい手が目利きだったのかもしれません。
建物を見ると、この住まいは、南側に大きな開口が取られているのが特徴的です。古来より南側の窓は大事だと言われていますが、実際に窓をどの方位に開けるかによって、室内の環境は全く異なります。日本のように四季がある国では、いかに夏の日射を遮り、冬の日射を取得するのかが大変重要です。南側の窓というのは、大変優れていて、夏は東西面よりも日射が少なく、冬はどの面よりも日射量が多いため、自然を取り入れる方位としては最適なのです。冬の晴れた日の日中は、最高の陽だまりが生まれます。更には、トリプルガラスという3層になった断熱ガラスが採用されているので、太陽が出ていない夜や朝方などでも熱が逃げることがなく快適です。窓の前に大きな落葉樹(紅葉)を植えているのも熱環境を良くしていました。夏は、大きな窓は熱負荷が大きくなることがありますが、この落葉樹が、自然のブラインドとして、夏の日差しを遮り、冬の日射を入れてくれる大事な役割をしてくれていました。高断熱された住まいは、魔法瓶のように熱を逃がしません。この住まいでは、その器そのものの断熱性と自然が出入りする口の設計がきちんとされているので、まさしく「陽」が「たまる」空間が生まれていました。

一つ小さな工夫を発見しました。北面の勝手口です。通風はなるべく風の入口と出口を対角線上に取ってあげることが大切ですが、勝手口の向きも高台ならではの風の抜けが上手に考えられていて、夏の涼風を想像できるようでした。

自然を良く読み解き、自然の恵みを感じながら暮らす、その大切さを改めて感じた訪問でした。[2017.3]

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