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本日1社目は、青山・新宿・自由が丘にオフィスを構える株式会社クラフト。今日お話してくれるのは設計部 部長の笹谷さん。

クラフトさんは創立以来34年、新築・リフォームを手がけてきました。近年は特に大規模なリフォーム/リノベーションを得意としています。マンション/戸建て、木造系/鉄骨・コンクリート等の非木造系、いずれもバランスよく手がけているのも特長です。
今回は戸建て、マンション、ビルなど、さまざまなタイプの事例を紹介してくれました。

両親から譲り受けた築42年の家

東京都
築年数:42年
家族構成:夫婦
リフォーム面積:140m²
工期:6ヶ月
費用:4,448万円

まずひとつ目は、田園調布にある築40年以上の一戸建て。お父さまの逝去とお母さまの入院を機に、ここで育った息子さんが引き継ぎ、ご夫婦で暮らす家にリノベーションしました。

当初は新しく建て直すつもりでしたが、地下1階・地上2階建てと大きな家で、解体・建設費用が高くついてしまいます。たとえリノベーションでも、かなりの部屋数なのでやはりコストは高め。多摩川に面した斜面に建っており、家の裏側には隣家が迫っているため1階の室内が暗くなってしまう、という悩みもありました。

クラフトの提案は、一部を「減築」しながらのリノベーション。「減築」とは建物の一部を取り壊し、よりコンパクトにすること。
床・天井や壁を取り払ってルーフバルコニーや吹き抜けをつくることで、外観の大きさは変えずに部屋数を減らしました。内部をよりのびのびとした生活空間に変えつつ、建設コストも下げられました。
リビングの吹き抜けのおかげで2階から自然光が入り、1階も明るく。もともとアトリエだった部屋の窓から富士山が望めることがわかり、眺めの良いお風呂もつくりました。

床や壁を減らすとなると、心配なのが耐震です。この物件では、キャットウォークを設ける等して耐震性を確保。また高い位置にある窓のメンテナンスや開閉もしやすくなり、普段はご両親が収集した美術品などを飾るギャラリーとしても有効活用できました。

のびのびとした空間なので、柱の存在感を薄くするため細く見える鉄骨を使用。耐震上必要な「火打ち」(梁と梁の角に打つ補強材)と呼ばれる部分は木のルーバーを使い、意匠的にも違和感がなく、かつ自然光を取り入れるといった工夫がなされています。

またダイニングも含め窓を全開放できるようサッシをすべて交換。老朽化した外壁・水漏れによって腐った土台・断熱材もすべて新しく。壁の中にもすべて耐震の金物を入れる等、住宅性能としてはほぼ新築並みに、安心で使いやすい空間になりました。

石井
「戸建てだからこそ出来る面白さ。予算が4500万円と高くて驚いたかもしれませんが、この大きさ・クオリティを新築で造ったとしたら、1億円はしますよね。“斜面に建っているため新築できない”という物件は横浜なんかには多いんです。戸建てを買うときは、そういうものを探すとお買い得な物件が出てくるかもしれません」