「リノベーションとは何か」の全体像がつかめたところで、後半がスタート。MUJI Renovation Clubのセレクトしたリノベーション専門会社による事例紹介、そして実際にリノベーションをしたことのあるお施主さんの体験談です。
肩肘はらない、自分たちらしい暮らし
今回登場したのは、『スタイル工房』のプランナー、渡辺ノリエさん。浜田山と南青山にオフィスを構える、人気のリノベーション専門会社です。デザイン性はもちろんですが「肩肘はらない、自分たちらしい暮らし」を大切にしています。
ちなみに「リノベーション専門会社」とは、物件探しやファイナンスから設計・工事までを一貫して手がける会社のこと。詳しくはリノベーション基礎講座をどうぞ。
子どもと一緒に育てる家
ひとつ目の事例は、施主は一歳のお子さんがいる30代のご夫婦。「これから子育てしていくに当たって、家族の基地になるような場所を築きたい」というご依頼でした。当初は新築も選択肢に入ってましたが、総予算が4000万円と新築には少し足りなかったため、リノベーションを希望。中古物件探しからスタイル工房がお手伝いしました。
そして、見つけた物件がこちら。


物件の条件は「木のイメージのお家」「庭がほしい」「一戸建て」。見つけたのは横浜郊外、約130平米の古い戸建て。元々あった吹き抜けとお庭が決め手になりました。
特に意識した点は、子育てしやすい家であること。もともとダイニングになかなか陽が入らず、その奥のキッチンはさらに暗かったのですが、和室とLDKをつないでキッチンを中心とした広々した1Rに。日当たり・風通しのよい空間を生み出すと同時に、主婦である奥さまが、「お子さんを見守りながら洗濯をする」など子育てと家事を同時進行しやすい動線をつくりました。間仕切り壁がなくなった分、耐震はデザイン的にあえて見せた筋交いで確保。
また、オープンキッチンは「見せたくない」部分まで丸見えになってしまうため、パントリーを設け、カーテンで目隠ししました。
もうひとつのポイントは、予算。耐震性能を上げる必要もあり、リフォーム予算1290万円はかなり限られた金額でした。

そこで2階の間取りはほとんど変えず内装を新しくし、理想の暮らしはなるべく1階のリノベーションで具現化しました。
その代わり、階段の手すりなどインテリアのテイストを1・2階で統一しています。


さらに「庭とリビングとつなげて使いたい」というご希望をもとに、お部屋の中からお庭へと地続きになるようなウッドデッキを設置。お庭には芝生を張って砂場をつくり、ハンモックやのぼり棒もある遊び場になっています。
2階は今後、子どもの成長に合わせ、ご家族自身で工夫して「楽しい家に変えていきたい」といいます。自分たちでは難しい「土台づくり」の部分をプロにお願いし、あとは住みながら、暮らしと家を育てていく。そんな住まい方も増えてきています。